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この記事でわかること
- 買える物・買えない物の線引き
- 同行と代行の4区分の違い
- 断られた時の次の一手
まず結論
訪問介護の買い物代行は「生活援助」として、利用者本人の日常品に限って頼めます。家族の分・嗜好品・遠方や複数店舗の買い回りは原則として対象外です。同居家族の有無や車の利用は自治体・ケアマネジャーの個別判断になるため、迷ったら担当のケアマネジャーに相談するのが近道です。例えばお酒やたばこ、家族の食材は対象外となることが多く、仏花やコンビニ振込は事業所により扱いが分かれ、本人の食品や処方薬の受け取りは頼めることが多いのが目安です。
この記事は、祖母の訪問介護で買い物リストを一緒に作った経験がある水野そらが、公的機関の一次情報をもとに編集しています。
「訪問介護でお願いしている買い物を、もう少し増やせないだろうか」。同居家族の分までまとめて頼めたら、と感じたことがある方は多いはずです。訪問介護の買い物代行には、頼める範囲と頼めない範囲を分ける公的なルールがあります。この記事では線引きと「買い物同行」との違い、断られたときの動き方を、家族側の準備まで整理しました。
訪問介護の「買い物代行」とは?同行との違い
訪問介護で頼める買い物は、大きく「代行」と「同行」の2つに分かれます。どちらに当たるかで、介護保険上の扱いも変わります。
「買い物代行」は生活援助にあたり、ヘルパーが利用者本人に代わって日常品を購入し届ける形です。「買い物同行」は身体介護にあたり、利用者と一緒に店へ行き、本人が選んで支払うのを歩行介助や見守りで手伝う形です。厚生労働省の「老計第10号」では、生活援助に日常品等の買い物、身体介護に外出時の付き添い(買い物・通院等)が整理されています。
※出典:厚生労働省「老計第10号」(最終改正 老振発0330第2号)PDFはこちら
同行との違いは、後述の4区分の表で整理します。
買える物・買えない物
生活援助の買い物代行は「利用者本人の、日常生活に必要な範囲」に限られます。老計第10号は個別の品目を列挙していないため、よく話題になる品目を3段階で挙げます。
頼めることが多いもの
- 食品・飲料・洗剤など、利用者本人が日常的に使う日用品
- 処方箋を持っての薬の受け取り(近隣の薬局まで)
- ケアプランで決めた上限額の範囲内の買い物
原則対象外とされることが多いもの
- 利用者以外の同居家族の分だけの弁当や食材
- お酒やたばこなどの嗜好品
- 日常の買い物圏を大きく超える遠方の店への外出
- 複数の店舗を回るような買い回り
- 大型の家電・家具など生活援助の枠を超える高額な買い物
扱いが分かれるもの(事業所・保険者に確認)
- 仏花やお供えもの
- 米や飲料など重量のある物
- コンビニ振込・切手の購入・ポイントカードの利用(金銭や手続きの代行と見なされることがあるため)
いずれも事業所や自治体によって運用の幅があり、最終的な可否は市区町村(保険者)とケアマネジャー次第です。対象外の買い物は、自費の「クラウドケア(CrowdCare)」に相談する方法もあります(2026年9月時点・定期依頼で1時間2,750円〈税込〉〜・交通費880円別。詳しい条件は後述)。
「誰が選ぶか×誰が行くか」で分かる4つの区分

買い物代行と買い物同行の違いが分かりにくいのは、線引きの軸が「誰が選ぶか」と「誰が行くか」に重なるためです。表で整理します。
| 区分 | 誰が選ぶか | 誰が行くか | 制度上の扱い |
|---|---|---|---|
| 同行(買い物同行) | 利用者本人 | 利用者とヘルパーが一緒に | 身体介護として算定 |
| 代行(買い物代行) | 家族やリストの指定どおり | ヘルパーだけ | 生活援助として算定 |
| 通院帰りに寄る・ヘルパーの車を使う | – | ヘルパーの車を利用 | 通院等乗降介助という別区分(事業所に許可がある場合のみ) |
| 保険外(自費サービス) | 利用者・家族の希望どおり | 自費サービスのヘルパー | 介護保険外の自費サービス |
3つ目の「ヘルパーの車を使う」は「通院等乗降介助」という別区分になります。日用品の買い物も対象になりえますが、事業所が道路運送法上の許可・登録を受け、ケアプランに位置づけられている場合に限られます。対応できるかは事業所・自治体・ケアマネジャーに確認してください。
同居家族がいる場合はどうなる?
「同居家族がいる」というだけで、一律に生活援助が使えなくなるわけではありません。個々の事情に応じて個別に判断されるとされています(出典:平成21年12月25日 厚生労働省老健局振興課「同居家族等がいる場合における訪問介護サービス等の生活援助の取扱いについて」〈介護保険最新情報Vol.125〉PDFはこちら)。運用には自治体差がありますが、家族の病気や障害、高齢、日中不在などの事情が考慮されうる例として自治体の案内ページで示されています。当てはまれば必ず利用できるとは限らず、最終的な可否は市区町村(保険者)とケアマネジャーに状況を伝えて確認してください。
利用時間と自己負担の目安
生活援助は所要時間によって「20分以上45分未満」と「45分以上」の2区分があり、時間が長いほど単位数(=費用)が高くなるのが基本です(厚生労働省 令和6年度介護報酬改定)。自己負担の割合は所得に応じて1〜3割で、仕組みは介護保険とは?仕組み・自己負担割合・申請の流れで解説しました。
単位数や地域ごとの単価は改定のたびに見直されるため、正確な自己負担額は担当のケアマネジャーや自治体窓口で確認してください。
依頼までの基本的な流れ
買い物代行は、思いついたその日に頼める単発サービスではありません。ケアプランへの反映が前提です。
- 担当のケアマネジャーに相談し、ケアプランに買い物代行を組み込む
- 担当ヘルパーと買い物リスト・上限額・現金(または専用の財布)を共有する
- 決まった訪問時間にヘルパーが購入し、自宅へ届ける
- 届いた商品とレシート・お釣りをその場で確認する
- 金銭管理簿に記録し、次回のリストに反映する
在宅介護全体の中で訪問介護をどう組み合わせるかは、在宅介護サービスの種類と使い方で整理しました。
家族が用意しておきたい「準備シート」チェックリスト
買い物代行がうまくいくかは、頼む側の準備で大きく変わります。ヘルパーに「お任せ」にせず、次の項目を紙にまとめておくだけで行き違いは減るはずです。
- 商品名・メーカー名・型番までできるだけ具体的にメモする
- 容量・個数を明記する(「牛乳」ではなく「低脂肪乳1L・1本」)
- 1回あたりの上限額を決めておく
- 品切れのときの代替品、または連絡してもらうかを事前に決めておく
- 買い物専用の財布・封筒を用意し、他のお金と混ざらないようにする
- 現金を渡すときは金額をメモに残し、金銭管理簿と照合できるようにする
- 届いた商品は、その場で本人か家族が内容を確認する
- レシートとお釣りを、いつ・誰が確認するかをその日のうちに決めておく
私自身、祖母の買い物メモに「牛乳」とだけ書いて渡し、違う銘柄が届いて困った経験があります。メーカー名まで書くだけで行き違いはかなり減ります。日用品全般の揃え方は在宅介護の準備品チェックリストも参考にしてください。
保険内で断られたときの次の一手

対象外と言われたのは制度上の線引きであり、頼んだこと自体が非常識だったわけではありません。諦める前に試せることが3段階あります。
- まずケアマネジャーに、なぜその買い物が必要かを具体的に伝えて再相談する。ケアプランの見直しで対応できることもあります。
- 自治体や社会福祉協議会、シルバー人材センターの買い物支援サービス、ネットスーパーや宅配サービスの活用を検討する(窓口の例:地域包括支援センターや市区町村の高齢者福祉担当課)。
- それでも難しい場合は、介護保険外の自費の訪問・家事サービスを検討する。
3段階目の例として、クラウドケア(CrowdCare)があります。公式サイト(2026年9月時点)によると税込2,750円/時間〜(定期週1回・隔週3,080円・スポット3,300円)、別途交通費880円、対応エリアは東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・京都・兵庫です。趣味の品や花屋での買い物など、介護保険では頼めない買い物も相談できますが、2026年10月から定期依頼の最低利用時間が2時間に変わる予定のため、最新の条件を公式サイトで確認してください。
対応エリア外なら、地域包括支援センターに買い物支援の案内がないか聞いてみるのも一案です。
トラブルを防ぐための注意点
金銭管理や商品確認は準備シート通りで防げます。ここでは「扱いが分かれるもの」で揉めやすい依頼の注意点をまとめます。
- コンビニ振込など金銭を伴う依頼は、頼める場合でも立替を頼まず専用の財布に必要な金額を先に入れて渡しておく
- 仏花・お供えや重量物、切手の購入やポイントカードの利用は対応が分かれるため、依頼前に事業所へ確認しておく
- 頼みたい範囲を超えていると分かったら、その場で無理を言わず「対象外なら別の方法を考えます」と伝える
よくある質問
Q. 買い物代行の交通費は誰が負担しますか?
A. 事業所の「通常の事業の実施地域」内なら交通費は基本的にかかりません。地域外は実費がかかるため、契約時に重要事項説明書で確認してください。
Q. ヘルパーの自家用車に乗せてもらうことはできますか?
A. ヘルパー個人の判断では乗せられません。事業所が道路運送法上の許可・登録を受け、「通院等乗降介助」として位置づけられている場合のみ可能です。可否は事業所・自治体に確認してください。
Q. 要支援(総合事業)でも買い物代行を頼めますか?
A. 総合事業は市区町村ごとに基準が異なり、頼めるかは自治体や地域包括支援センター(またはケアマネジャー)次第です。
Q. 電子マネーやスマホ決済で買い物代金を渡してもいいですか?
A. 事業所によって対応が分かれます。現金や専用の財布での受け渡しが基本のことが多く、電子マネーを使いたい場合は事前に事業所へ相談してください。
介護保険の対象外だった買い物や家事は、自費のクラウドケア(CrowdCare)に相談する方法もあります。
まとめ
- 買い物代行(生活援助)は利用者本人の日常品に限られ、家族の分や嗜好品は原則対象外
- 「誰が選ぶか・誰が行くか」で同行・代行・保険外の扱いが変わる
- 同居家族の有無や車の利用は一律ではなく個別判断。最終的には市区町村とケアマネジャー次第
- 商品名・容量・上限額を書いた準備シートがあると行き違いが減る
- 断られたら、再相談→自治体の支援→自費サービスの順に検討する
まずは担当のケアマネジャーに、今困っている買い物の内容を伝えるところから始めてみてください。
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