介護離職を防ぐ制度まとめ|介護休業・給付金の取り方

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この記事でわかること

  • 介護休業・介護休暇・時短など仕事と介護を両立させる制度の内容と違い
  • 介護休業給付金(賃金の67%)の受給条件と申請の流れ
  • 会社に渋られたときの対処法と2025年4月改正のポイント
  • 制度だけでは足りないときに活用できるサービスと相談窓口

まず結論

介護離職は「辞めれば楽になる」どころか、辞めた人の6割超が「介護負担がかえって増えた」と感じているというデータがあります。介護休業(最大93日)や給付金(賃金の67%)、介護休暇・時短勤務など、仕事を続けながら使える制度が複数あります。「辞める前に使える制度をすべて試す」が鉄則です。

「親の介護が始まったけれど、仕事を続けられるか不安……」「上司に言い出せないまま限界に近づいている」。そんな状況で一人で抱え込み、気づいたら退職届を出してしまう——介護離職は、制度を知らないまま起きることがほとんどです。

この記事では、介護離職を防ぐために使える公的制度を整理し、会社に言い出しにくい場合の具体的な対処法まで、水野そらが実体験も交えながら解説します。

介護離職の現実|辞めた人の6割超が「負担が増えた」と答えている

総務省「就業構造基本調査」によると、介護を理由に離職する人は年間約10万人にのぼります。「仕事か介護か」という二択に追い詰められる人がそれだけ多いということです。

しかし、実態はどうでしょうか。介護離職した人へのアンケートでは、「辞めてから介護が楽になった」という人よりも、「かえって負担が増えた」と感じた人が6割を超えるという結果が複数の調査で報告されています。主な理由は次のとおりです。

  • 収入ゼロで介護費用を捻出しなければならない:施設や訪問サービスの費用は続く一方、給与がなくなる
  • 社会とのつながりが途絶えて精神的に追い詰められる:仕事は「介護以外の時間」でもある
  • 介護が終わったあとの再就職が難しい:特に女性やミドル世代は空白期間がネックになりやすい

つまり、介護離職は「問題の先送り」になりやすいのです。だからこそ、まず使える制度を知ることが大切です。

介護休業とは?通算93日は「介護体制づくり」のための期間

介護休業は、育児・介護休業法に基づく権利です。要介護状態にある家族1人につき、通算93日まで、最大3回に分けて取得できます。

93日という日数の設計思想

「93日しかない」と不安を感じる方も多いのですが、この制度の設計思想は「介護を自分で丸抱えする期間」ではなく、「介護体制を整えるための準備期間」です。ケアマネジャーへの相談、介護保険サービスの手続き、施設の見学・申し込みなど、体制づくりに集中する時間として活用することが想定されています。

逆に言えば、93日を使い切る前に介護サービスの仕組みを整えられれば、仕事に戻りながら在宅介護を続けることも十分に可能です。

介護休業の対象と条件

  • 対象家族:配偶者・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫
  • 要介護状態:2週間以上、常時介護が必要な状態(介護保険の要介護認定は必須ではない)
  • 雇用形態:正社員のほか、有期雇用でも一定条件(継続雇用1年以上かつ休業終了後も雇用継続の見込み)を満たせば取得可能
  • 会社の許可は不要:申し出ればよく、会社が拒否することは法律上できない

要介護認定の申請方法については、要介護認定の申請方法も参考にしてください。

介護休業給付金|賃金の67%がもらえる条件と申請の流れ

介護休業中は無給になることが多いですが、雇用保険から「介護休業給付金」が支給されます。

給付額と受給条件

  • 給付率:休業開始前賃金の67%(2025年4月時点)
  • 上限額:支給対象となる賃金日額に上限あり(毎年8月に改定)
  • 受給条件:雇用保険の被保険者で、休業開始前の2年間に12ヶ月以上の被保険者期間があること
  • 支給期間:介護休業を取得した期間(通算93日が上限)

月収30万円の場合、67%で約20万円の給付を受けられます。ただし、休業中に会社から賃金が支払われる場合は給付が減額され、休業開始時賃金日額×支給日数の80%以上が支払われると支給額は0円になります(出典:厚生労働省「Q&A〜介護休業給付〜」)。具体的な給付額の計算や申請書の書き方は、勤務先の人事担当または最寄りのハローワークにご相談ください。

申請の流れ

  1. 会社(人事・総務担当)に介護休業の申し出をする
  2. 会社がハローワークに「介護休業給付金支給申請書」を提出(本人が直接申請することも可)
  3. ハローワークが審査・支給決定
  4. 給付金が振り込まれる(申請から1〜2ヶ月程度が目安)

介護休暇・時短・残業免除|日常の両立を支える5つの制度

介護両立支援制度の5種類一覧

介護休業は「体制づくりのための長期休み」ですが、日常の介護と仕事を両立させるための制度も複数あります。育児・介護休業法に定められた主な5つの制度を整理します。

日常両立を支える5制度の一覧

制度名 内容 取得単位
介護休暇 要介護の家族1人につき年5日(2人以上は年10日)の休暇 1日・半日・時間単位
所定労働時間の短縮(時短) 1日の勤務時間を短縮できる(1回につき連続6ヶ月以上) 日単位
所定外労働(残業)の免除 残業を拒否できる(申し出から介護終了まで)
時間外労働の制限 月24時間・年150時間を超える時間外労働を免除
深夜業の制限 深夜(22時〜5時)の勤務を免除

これらの制度は要件を満たせば会社の許可なく申し出ることができます。「介護休業を使うほどではないけれど、通院の付き添いが必要」という場面では、まず介護休暇(半日・時間単位取得可)から活用してみましょう。

会社に言い出しにくい・渋られたときの対処法(2025年改正で会社の周知が義務に)

「上司に言ったら評価が下がるかも」「人手不足で申し訳ない」という気持ちから、制度を使いたいのに言い出せないケースは少なくありません。

2025年4月改正で変わったこと

2025年4月に改正育児・介護休業法が施行され、会社側に以下が義務化されました(努力義務含む)。

  • 介護に直面した従業員への個別周知と意向確認の義務化:会社は従業員が介護状態にあることを知った場合、制度の説明と取得意向を個別に確認しなければならない
  • テレワーク活用の努力義務:介護中の従業員にテレワークを選択できる環境を整えることが会社の努力義務になった

つまり、あなたから言い出す前に、会社側が制度を説明してくれる義務が生まれています。もし会社から何も説明がなければ、法改正の周知が徹底されていない可能性があります。

会社が渋ったときのステップ

  1. 育児・介護休業法を根拠として伝える:「法律上の権利として申し出ています」と明確に伝える
  2. 書面(メールでも可)で申し出る:口頭のみでは記録が残らない。メールで申し出れば証拠になる
  3. 都道府県労働局「雇用環境・均等部(室)」に相談する:会社が拒否した場合は法律違反。都道府県労働局に相談・申告できる(無料・匿名可)

「制度はあっても使えない」という職場の雰囲気は確かに存在します。しかし2025年の改正でその障壁は確実に下がっています。一人で悩まずに、まず相談窓口を使ってみてください。

参考:厚生労働省「仕事と介護の両立 〜介護離職を防ぐために〜」

制度だけでは足りないとき|介護サービス・保険外サービスの組み合わせ方

公的な仕事と介護の両立制度を使いつつ、介護の実務を支えるのが介護保険サービスです。訪問介護・デイサービス・ショートステイなどを上手に組み合わせることで、「日中の見守りは在宅サービスに任せて自分は仕事に集中する」という体制が作れます。

在宅サービスの種類や使い方は在宅介護サービスの種類と使い方で詳しく解説しています。費用軽減のしくみは介護費用を安くする4つの制度をご覧ください。

保険外サービスで仕事を続ける

介護保険の対象外でも、民間の見守りサービスや家事代行を活用することで、介護の「すきま」を埋められます。特に日中の安否確認や、ゴミ出し・買い物などの生活支援は、保険外のサービスが柔軟に対応できます。

在宅での両立が難しくなったとき、あるいは介護度が上がって施設を検討する段階になったときは、早めに情報収集を始めることが大切です。特養(特別養護老人ホーム)への申し込み方法は特養の入り方で解説しています。

まとめ|「一人で抱えて辞める」前に使える窓口一覧

介護の相談窓口4選

介護離職を防ぐための制度と手順を整理します。

  • 介護休業(最大93日):介護体制を整える準備期間として活用する
  • 介護休業給付金(賃金の67%):ハローワークに申請、会社経由でも手続き可
  • 介護休暇・時短・残業免除:日常の通院付き添いや急な呼び出しに対応
  • 2025年4月改正:会社による個別周知・意向確認が義務化
  • 介護保険サービス:訪問介護・デイ・ショートを組み合わせて「介護の空き時間」を確保

「辞めたい」と思ったとき、その前に相談できる窓口があります。

窓口 相談内容 費用
地域包括支援センター 介護保険・在宅サービスの総合相談 無料
ハローワーク 介護休業給付金の申請・相談 無料
都道府県労働局 雇用環境・均等部(室) 会社が制度を拒否した場合の申告・相談 無料
市区町村窓口 要介護認定の申請・介護保険の手続き 無料

「まだ辞めると決めたわけじゃない」「制度のことをもう少し詳しく知りたい」という段階でも、地域包括支援センターやハローワークに相談するだけで、大きく見通しが変わることがあります。一人で抱え込まず、まず一歩踏み出してみてください。

介護保険の基本的な仕組みは介護保険とは?仕組みと使い方で解説しています。

参考:WAM NET 両立支援制度一覧厚生労働省「仕事と介護の両立」

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この記事を書いた人

両親や義理の家族を見送った経験から「やさしい終活ガイド」を運営しています。特定の業者に偏らず、葬儀・お墓・相続の手続きなどの費用相場や流れを、公的な情報や一次情報をもとに中立にお伝えします。(相続・税・法律の個別のご相談は専門家へおつなぎします)

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