介護費用を安くする4つの制度|高額介護サービス費・負担限度額認定の申請方法

介護・老人ホーム

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「介護費用、毎月こんなにかかるの……」と絶句した日のことを、わたしは今でも忘れられません。

両親の施設を探していたとき、担当のケアマネさんにこう言われました。「申請しないと、使える制度があっても受け取れませんよ」と。要件を満たしている方でも、申請なしでは一切適用されないのが、日本の介護保険の”申請主義”です。

日本の介護保険制度には、申請した人だけが使える費用軽減の仕組みが4つあります。しかし「制度があること自体を知らない」「申請方法がわからない」という理由で、受け取れるはずのお金を受け取れていないご家族が少なくありません。

この記事では、介護費用を安くできる4つの制度を、申請方法・注意点も含めて順番にご説明します。2026年7月時点の情報をもとに、厚生労働省の資料に基づいて解説しています。

介護費用を安くできる4つの制度

まず全体像を把握しておきましょう。4つの制度をまとめると以下のとおりです。

制度名 主な対象 申請先 ポイント
① 高額介護サービス費 すべての介護保険利用者 市区町村 月ごとに超過分が戻る・初回のみ申請
② 補足給付(負担限度額認定) 非課税世帯で施設入所中 市区町村 食費・居住費を大幅軽減・毎年更新
③ 社会福祉法人等による軽減 低所得で一定要件を満たす人 市区町村 原則1/4軽減・法人によって実施有無が異なる
④ 高額医療・介護合算療養費 医療と介護の両方を利用中 市区町村+医療保険者 1年間の合計で上限を超えた分が支給

それぞれ詳しく見ていきましょう。

介護費用を安くする4制度の使い方フロー図

① 高額介護サービス費(月ごとに戻ってくる)

高額介護サービス費 所得別上限額早見表

高額介護サービス費は、1か月間に支払った介護保険の自己負担額が一定の上限額を超えた場合に、超えた分を後から払い戻してもらえる制度です(厚生労働省・介護保険制度の概要より)。

在宅サービスでも施設サービスでも対象になるため、介護保険を利用しているすべてのご家族が知っておくべき制度です。

上限額の一覧(所得区分別・2026年7月時点)

所得区分 月額上限(個人) 月額上限(世帯)
生活保護受給者など 15,000円 15,000円
世帯全員が市町村民税非課税かつ年金収入等が80万9,000円以下など 15,000円 24,600円
世帯全員が市町村民税非課税(上記以外) 24,600円
一般(課税・年収380万円未満) 44,400円
課税所得380万円以上〜690万円未満 93,000円
課税所得690万円以上 140,100円

※厚生労働省の公表資料をもとに作成(2026年7月時点)。制度改定により変更される場合があります。最新の上限額は市区町村窓口または厚生労働省の公式サイトでご確認ください。

申請方法・振込のタイミング

  • 初回だけ市区町村の介護保険担当窓口に申請書を提出します(2回目以降は自動的に指定口座へ振込)
  • 振込は、サービスを利用した月からおよそ3〜6か月後が目安です
  • 申請を忘れていた場合でも、2年以内であれば遡って申請できます。「もらえるはずだった」と気づいたら、すぐに窓口へ相談しましょう

対象外になるもの

以下の費用は高額介護サービス費の対象外です。

  • 施設の食費・居住費(日常生活費)
  • 差額ベッド代
  • 住宅改修・福祉用具購入の自己負担分
  • 支給限度額を超えた部分の自己負担分

「全部戻ってくる」と思い込まないよう、ご注意ください。

② 補足給付(負担限度額認定)|施設の食費・居住費を軽減

特別養護老人ホーム(特養)や老健など介護保険施設に入所している場合、食費と居住費は介護保険の対象外で全額自己負担となります。しかしこの「補足給付(特定入所者介護サービス費)」を使えば、所得・資産に応じて大きく軽減できます。

申請できる人の主な要件

以下のすべてを満たす必要があります(2026年7月時点・厚生労働省の基準をもとに作成)。

  1. 世帯全員が市町村民税非課税であること
  2. 配偶者(世帯分離していても)が市町村民税非課税であること
  3. 預貯金・有価証券等の資産が段階ごとの基準額以下であること

資産の基準(参考・目安)は以下のとおりです。実際の基準は毎年度見直しがあります。必ず市区町村窓口でご確認ください。

負担段階 所得の目安 資産上限(単身/配偶者あり)
第1段階 生活保護受給者・老齢福祉年金受給者 1,000万円 / 2,000万円
第2段階 年金収入+合計所得が80万9,000円以下(※) 650万円 / 1,650万円
第3段階① 年金収入+合計所得が120万円以下 550万円 / 1,550万円
第3段階② 年金収入+合計所得が120万円超 500万円 / 1,500万円

※上記は参考値です。資産の基準額は毎年度見直しが行われます。正確な基準は市区町村窓口でご確認ください(2026年7月時点)。

軽減後の食費・居住費の目安(1日あたり・令和6年8月改定)

負担段階 食費(施設) 居住費(ユニット型個室)
第1段階 300円 880円
第2段階 390円 880円
第3段階① 650円 1,370円
第3段階② 1,360円 1,370円

※厚生労働省「特定入所者介護サービス費(補足給付)」令和6年8月改定値をもとに作成。施設の部屋タイプによって居住費の基準額が異なります。詳細は施設または市区町村にご確認ください。

注意点

  • 有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は対象外です。補足給付が使えるのは、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院・ショートステイのみです
  • 認定は毎年更新が必要です(有効期間:8月1日〜翌年7月31日)。更新を忘れると、その間は通常の費用がかかりますのでご注意ください
  • 有料老人ホームを検討中の方は、この制度は使えませんが、次に説明する①高額介護サービス費が費用軽減の主な手段になります

わたしの母が特養への入所を検討していたとき、市区町村の窓口でこの補足給付の話を初めて聞きました。「こんな制度があったなんて」と驚いたと同時に、もし知らなければ毎月数万円余分に払い続けていたかもしれないと思うと、申請の大切さを実感しました。

③ 社会福祉法人等による利用者負担軽減

低所得の方を対象に、社会福祉法人が運営する施設やサービスの利用料を軽減する制度です。介護保険の自己負担分・食費・居住費などが対象になり、原則として費用の1/4が軽減されます(老齢福祉年金を受給している方は1/2軽減)。

申請できる目安となる要件(例)

  • 世帯全員が市町村民税非課税
  • 年収(単身)が概ね150万円以下
  • 預貯金等(単身)が概ね350万円以下
  • 日常生活のための資産以外にめぼしい資産がない
  • 介護保険料の滞納がないこと など

※要件は市区町村によって異なります。詳細は必ずお住まいの市区町村窓口でご確認ください。

この制度は、すべての社会福祉法人が実施しているわけではありません。利用を検討している施設が対象かどうか、事前に市区町村または施設に確認することをおすすめします。

④ 高額医療・介護合算療養費制度(1年間で合算)

医療保険と介護保険の両方を使っているご家庭向けの制度です。同じ世帯の中で、医療費と介護費用の自己負担額を1年間(8月〜翌7月)合算し、基準額を超えた分が支給されます(厚生労働省「高額医療・高額介護合算療養費制度」より)。

70歳以上の場合の年間限度額の例

  • 年収156万〜370万円程度:56万円
  • 年収370万〜770万円程度:67万円
  • 年収770万〜1,160万円程度:141万円

※所得区分によって異なります。詳細は加入している医療保険者(健康保険組合・協会けんぽ・国民健康保険など)または市区町村にご確認ください。

申請の流れは少し複雑で、2段階になります。

  1. まず市区町村(介護保険担当)で介護保険分の「自己負担額証明書」を取得する
  2. その証明書を持って加入している医療保険者(健保組合・協会けんぽ・国民健康保険の窓口など)に申請する

「医療費も介護費も両方かかっていて大変」という状況のご家族は、ぜひ忘れずに確認してみてください。

4つの制度を「使う順番」で考える

4つの制度は組み合わせて使えます。実際の活用イメージは次のとおりです。

おすすめの確認順序

  1. まず①高額介護サービス費:介護保険を使っているなら全員が対象。初回申請さえすれば自動で戻ってくる
  2. 施設入所なら②補足給付:特養・老健への入所が決まったら、入所前から市区町村に相談を
  3. 対象施設+低所得なら③社福軽減:窓口で要件を確認し、実施している法人かを確かめる
  4. 医療費も重なるなら④合算療養費:1年間の合計で確認。該当しそうなら忘れずに申請

どの制度も「申請しなければ受け取れない」という点が共通しています。担当のケアマネジャーさんや、市区町村の介護保険担当窓口に「使える制度はありますか?」と一度相談してみることをおすすめします。

まとめ

  • 介護費用を下げる制度は「高額介護サービス費」「補足給付」「社会福祉法人等の軽減」「高額医療・介護合算療養費」の4つ
  • 高額介護サービス費は介護保険を使う人全員が対象で、初回の申請さえすれば以後は自動で払い戻される
  • 補足給付は施設入所時の食費・居住費を軽減する制度で、世帯全員が非課税などの要件と毎年の更新が必要
  • 社会福祉法人等の軽減は実施していない法人もあるため、窓口で取り扱いの有無から確認する
  • 医療費も重なる年は、合算療養費を1年分(8月〜翌7月)でまとめて確認する

4つに共通するのは「申請しなければ受け取れない」という点です。まずはケアマネジャーや市区町村の介護保険窓口に、使える制度がないか一度たずねてみてください。

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この記事を書いた人

両親や義理の家族を見送った経験から「やさしい終活ガイド」を運営しています。特定の業者に偏らず、葬儀・お墓・相続の手続きなどの費用相場や流れを、公的な情報や一次情報をもとに中立にお伝えします。(相続・税・法律の個別のご相談は専門家へおつなぎします)

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