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この記事は、家族の介護でおむつ代の負担を経験した水野そらが、公的機関の一次情報をもとに編集しています。
まず結論
要介護認定を受けていても、紙おむつ代が介護保険から自動的に助成される仕組みはありません。ただし多くの市区町村が独自の紙おむつ支給・購入費助成事業を用意しており、要介護度や所得などの条件を満たせば費用の一部を抑えられる場合があります。助成額は月5,000円〜12,000円程度と自治体によって幅があり(あくまで一例で、要件・金額は自治体ごとに大きく異なります)、まずは「〇〇市 紙おむつ支給」で検索してお住まいの市区町村の公式サイトかケアマネジャーに確認することが最初の一歩です。
要介護認定を受けると、真っ先に気になる出費のひとつが紙おむつ代です。在宅介護で毎日使うものだけに、月々の負担は決して小さくありません。「介護保険で少しは助成されるのでは」と調べ始めて、制度の複雑さに戸惑った方もいるのではないでしょうか。この記事では、介護保険とおむつ代の関係を整理したうえで、お住まいの自治体の制度を自分で調べる手順と、助成以外の負担軽減策までまとめます。
要介護認定を受けても、紙おむつ代は自動的には助成されない
まず知っておきたいのは、介護保険の給付には紙おむつ代そのものを直接補う仕組みがないという点です。介護保険の福祉用具購入費(年間10万円までの枠)は入浴補助用具やポータブルトイレなど「排泄関連の用具」を対象にしたもので、消耗品である紙おむつは対象に含まれていません。現金給付という形でおむつ代が戻ってくる制度も、介護保険の中にはありません。
ただし、これはあくまで「介護保険からは出ない」という話です。市区町村が独自に実施している紙おむつの支給・購入費助成事業を使えば、費用の一部を軽減できる可能性があります。支給の形は自治体によって「現物支給」「助成券」「購入費の後払い助成」の3タイプに分かれており、どれを採用しているかも自治体次第です。
自分の市区町村の制度を5分で調べる手順

紙おむつ助成は自治体ごとの独自事業のため、全国共通の窓口や一覧は存在しません。次の手順なら、5分ほどで自分の自治体の制度にたどり着けます。
- 検索エンジンで「〇〇市(区)紙おむつ支給」または「〇〇市(区)紙おむつ助成」と検索する
- 表示された自治体の公式サイトのページを開く
- ページ内で下の5点を確認する
確認する5点はこちらです。
- 対象となる要介護度(要支援からか、要介護3以上からか等)
- 在宅が対象か、入院・施設入所中も対象か
- 所得要件(住民税非課税世帯限定か等)
- 現物支給か、助成券か、購入費の後払い助成か
- 申請窓口(区民課、高齢者相談センター、地域包括支援センター等)
検索してもページが見つからない、内容が読み取りにくいという場合は、無理に自分で調べきろうとせず、地域包括支援センターやケアマネジャーに直接聞くのが確実です。
なお、要介護認定そのものがまだ済んでいない方は、先に認定の申請を済ませておく必要があります。認定される区分によって使える助成の範囲が変わることも多いため、要介護認定の申請方法もあわせてご確認ください。
自治体でこれだけ違う|紙おむつ助成の比較表
同じ「紙おむつ助成」という名前でも、対象になる要介護度や助成額、支給の方式は自治体ごとにまったく異なります。下の表は実際の制度の一例ですが、金額を覚えていただくためのものではなく、「これだけ違うのだから、必ず自分の自治体で確認する」ことを実感していただくための表です。
| 自治体 | 対象 | 助成内容(月額の目安) | 支給方式 |
|---|---|---|---|
| 港区 | ねたきりまたは失禁状態にあり、要支援1以上で、医療機関入院中または有料老人ホーム入所中(特養等は対象外) | 上限12,000円(実費が下回る場合はその額) | 後払いの費用助成 |
| 世田谷区 | 要介護3〜5(65歳以上で入院中は要介護認定不要) | 在宅=現物支給(自己負担月500円)/入院中=助成金上限5,000円(退院前申請が必須) | 現物支給+入院時助成 |
| 横浜市 | 要介護4・5(または要介護1〜3で区が必要と認めた場合)・市民税非課税世帯等 | 要介護4・5=上限8,000円/要介護1〜3=上限6,000円(自己負担は上限額の1割) | 現物支給 |
| 江東区 | 要介護3〜5(要介護2以下でも医師の診断書があれば対象) | 現物支給=75点まで無料(超過分は1点100円)/現金助成=上限7,500円 | 現物支給または現金助成を選択 |
※2026年8月時点で各自治体の公式サイト(港区・世田谷区・横浜市・江東区)を確認して作成した一例です。要件・金額は変更されることがあるため、実際に申請する際は必ずお住まいの自治体の最新情報をご確認ください。
港区のように「入院中・施設入所中の方が対象」という自治体もあれば、世田谷区のように在宅と入院のそれぞれに別の制度を用意している自治体もあります。同じ首都圏でも要件がここまで違うため、他の家庭や別の自治体の情報をそのまま自分の家庭に当てはめず、お住まいの自治体に確認することを徹底してください。なお港区には、この表とは別に在宅で暮らす方向けの「紙おむつの給付」制度もあります。
申請の流れ|相談から申請までの一般的な手順
自治体ごとに細部は異なりますが、多くの制度に共通する大まかな流れは次のとおりです。
- 地域包括支援センターやケアマネジャーに相談する(対象になりそうか、必要書類を確認する)
- 窓口またはオンラインで申請書を提出する
- 審査を経て、現物支給・助成券・費用助成のいずれかが開始される
ここで見落としやすいのが、申請した月からの助成が一般的で、さかのぼって以前に使った分まで助成されるわけではないという点です。世田谷区の入院時おむつ代助成のように「退院前に申請しないと対象にならない」制度もあります。また、一定期間ごとに利用状況の報告を求められる自治体もあります。「必要になってから申請すればいい」と後回しにせず、要介護認定が出た時点で早めに窓口へ相談しておくと安心です。
施設に入所中・入院中はどうなるか
特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院に入所している場合、おむつ代は施設サービス費に含まれていることが一般的で、利用者が別途おむつ代を支払う場面は少ないとされています。一方、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、おむつ代が実費として請求されることが多く、施設ごとに扱いが異なります。
入院中のおむつ代は介護保険の対象外で、病院ごとの実費負担になるのが一般的です。港区のように入院・施設入所中の方を対象にしたおむつ代助成を用意している自治体もあれば、在宅を中心に据えている自治体もあり、ここでも差が大きい部分です。入院や施設入所が決まったら、その施設・病院に「おむつ代は実費か、助成の対象になるか」を直接確認しておくと、想定外の出費に慌てずに済みます。
もう一つの軽減策|紙おむつ代の医療費控除
自治体の助成とは別に、確定申告で医療費控除を使える場合があります。国税庁の一次情報によると、要件の目安はおおむね次のとおりです。
- おおむね6か月以上、寝たきりの状態にあること
- 医師による治療を受けていること
- 「おむつ使用証明書」など、医師の証明があること
2年目以降でその年に主治医意見書が作成されていない場合は、その年に受けていた要介護認定(有効期間が13か月以上のものに限る)の審査時に作成された主治医意見書を「おむつ使用証明書」の代わりに使える取り扱いが、国税庁から示されています。なお2024年10月には、要件を満たせば1年目からでも主治医意見書を代用できるよう、取扱いがさらに広げられています。証明書は5年間の保存・提示が求められるため、確定申告が終わったあとも捨てずに保管しておくと安心です。
ただし、医療費控除が使えるかどうか、実際にいくら還付されるかは家族の状況や所得によって異なります。個別の判断はご自身では行わず、詳しくは税務署または税理士にご相談ください。
助成が受けられない・対象外だったときの負担軽減 3層マップ

「調べてみたら対象外だった」「所得要件で助成が受けられなかった」ということも珍しくありません。そうした場合も、負担を軽くする方法は一段階だけではありません。整理すると、次の3つの層で考えることができます。
- 1層目:自治体の助成制度 まずはお住まいの自治体に対象になる制度がないか確認する
- 2層目:医療費控除 自治体の助成が使えなくても、要件を満たせば確定申告で軽減できる場合がある
- 3層目:買い方の工夫 助成・控除のどちらも対象外だった場合は、日々の買い方でコストを抑える
3層目の「買い方の工夫」は、今日からでもすぐに始められます。ドラッグストアで少量ずつ買うより、まとめてケース買いをしたほうが1枚あたりの単価を抑えられることが多く、テープ止めタイプと尿とりパッドを併用して、交換の手間とコストのバランスを取っている家庭もあります。
よくある質問
Q. 要介護度が低くても紙おむつ助成は受けられますか?
A. 自治体によっては要支援から対象になる制度もありますが、要介護3以上に限定する自治体も多く、要件は自治体ごとの確認が必要です。
Q. 現物支給の場合、おむつの銘柄・サイズは選べる?
A. 自治体・支給方式によって異なります。カタログや点数制の中から複数の銘柄・サイズを選べる自治体もあれば、指定の銘柄のみという自治体もあります。必ずお住まいの自治体の窓口で確認してください。
Q. 医療費控除は誰でも使えますか?
A. 寝たきり期間や医師の証明など一定の要件があり、個別の可否は税務署または税理士への確認が必要です。
まとめ
- 介護保険から紙おむつ代が直接助成される仕組みはない
- 多くの市区町村に独自の紙おむつ支給・購入費助成制度がある
- 要件・金額は自治体ごとに大きく異なるため、必ず自分の自治体で確認する
- 助成が使えなくても、医療費控除や買い方の工夫で負担を抑える方法がある
まずは「〇〇市 紙おむつ支給」で検索し、お住まいの自治体のページを開くところから始めてみてください。
助成の有無にかかわらず、テープ止めタイプと尿とりパッドを併用すると、交換の手間とコストのバランスを取りやすくなります。日々の買い方の工夫として、パッドを取り入れてみるのも一つの方法です。

