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老人ホームには10種類以上あり、費用も月額5万円台から30万円超まで大きな差があります。この記事では「公的施設」と「民間施設」の2軸で全種類を整理し、費用相場・軽減制度・選び方のポイントを解説します。
「そろそろ親の介護について考えなければ」と思いながら、老人ホームの種類が多くて何から調べればよいか分からない——そんな方がとても多いです。
わたし自身、両親の施設探しをした際に、特養・有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅の違いが最初はまったく整理できませんでした。
この記事では、全種類を「公的」と「民間」の2グループに整理したうえで、費用相場・選ぶときの判断軸・費用が心配なときの制度まで順番に説明します。
老人ホームは「公的」と「民間」の2グループで考える
老人ホームを種類別に覚えようとすると混乱しやすいです。まず「誰が運営しているか」で2つに分けると整理しやすくなります。
公的施設(費用が低めで、入居条件が厳しい)
国や自治体が関与する施設です。費用は民間より低めですが、入居には要介護認定や所得条件があり、特に人気の特養は待機期間が長い点に注意が必要です。
| 施設名 | 入居条件 | 入居一時金 | 月額目安 |
|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 要介護3以上 | 0円 | 5〜15万円 |
| 介護老人保健施設(老健) | 要介護1以上 | 0円 | 8〜14万円 |
| 介護医療院 | 要介護1以上 | 0円 | 10〜20万円 |
| ケアハウス(軽費老人ホーム) | 60歳以上・自立〜軽介護 | 0〜数十万円 | 8〜17万円 |
月額はあくまで目安です。要介護度・所得段階・居室タイプ(多床室か個室か)によって変わります。正確な金額は各施設にお問い合わせください。
民間施設(入居しやすいが費用は高め)
民間事業者が運営します。特養と違って待機なしで入居できるケースが多く、施設のバリエーションも豊富ですが、費用は全体的に高くなります。
なお、同じ有料老人ホームでも「介護付き」と「住宅型」では介護サービスの提供のしかたが異なります。介護付き有料老人ホームは施設のスタッフが直接介護サービスを提供する「特定施設入居者生活介護」の指定を受けているのに対し、住宅型有料老人ホームは生活支援が中心で、介護が必要な場合は外部の訪問介護等の事業者と別途契約する仕組みになっています。
| 施設名 | 入居条件 | 入居一時金 | 月額目安 |
|---|---|---|---|
| 介護付き有料老人ホーム | 自立〜要介護(施設による) | 0〜数千万円 | 15〜30万円 |
| 住宅型有料老人ホーム | 自立〜要介護 | 0〜数百万円 | 12〜25万円 |
| 健康型有料老人ホーム | 自立のみ | 数百万〜数億円 | 10〜30万円 |
| サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 60歳以上・自立〜要介護 | 0〜数十万円(敷金型) | 10〜20万円 |
| グループホーム | 要支援2以上・認知症の診断あり | 0〜数十万円 | 14〜20万円 |
| シニア向け分譲マンション | 自立〜軽介護 | 数千万円〜(購入) | 10〜30万円+管理費 |

月額費用の内訳を知っておく
施設の「月額○万円」という数字には複数の費目が含まれています。内訳を知らないと、入居後に想定外の出費が生じることがあります。
月額費用の4本柱
- 介護サービス費:要介護度に応じて決まる。自己負担は原則1割で、一定以上所得者は2割または3割(出典:厚生労働省「介護サービス情報公表システム」)
- 居住費:居室タイプにより異なる(多床室が最も安く、ユニット型個室が最も高い)
- 食費:1日あたりの基準額が国で定められている
- 日常生活費:日用品・理美容・レクリエーション費など(施設ごとに異なる)

特養など公的施設の居住費・食費は「基準費用額」として国が定めており、所得に応じた軽減制度も用意されています(後述)。有料老人ホームは施設が自由に設定できるため、費用のばらつきが大きいです。
費用が心配なときは「軽減制度」を確認する
介護施設の費用負担を軽くする制度が2つあります。多くの方が知らないまま申請していないケースがあるため、早めに確認することをおすすめします。
①補足給付(負担限度額認定)
所得・預貯金が一定以下の方が対象で、特養・老健・介護医療院などの居住費と食費の自己負担額を減額してもらえる制度です。対象のおおまかな目安は、世帯全員が市町村民税非課税で、かつ預貯金等が単身1,000万円以下(夫婦で2,000万円以下)の方です。市区町村の介護保険担当窓口に「負担限度額認定証」の申請をします。詳しい要件は市区町村の窓口にご確認ください。
②高額介護サービス費
同じ月の介護サービス費の自己負担合計が所得段階に応じた上限額を超えた場合、超えた分が払い戻される制度です。月額が高くなりやすい有料老人ホームの利用者にも適用されます(介護サービス費の自己負担分のみが対象で、居住費・食費・日常生活費は対象外)。
どちらの制度も自動適用ではなく、申請が必要です。ケアマネジャーや市区町村の窓口に相談してみてください。
「年金で払えるか」を事前に確認する
施設選びで多くの方が気になるのが「毎月の年金で払い続けられるか」という点です。年金受給額の目安(厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」・令和4年度時点。最新は厚生労働省公式サイトでご確認ください)は以下のとおりです。
| 年金種別 | 平均月額(目安) |
|---|---|
| 国民年金(老齢基礎) | 約5.6万円 |
| 厚生年金(老齢厚生・基礎含む) | 約14.5万円 |
この数字と施設の月額を照らし合わせると、特養(5〜15万円)は国民年金だけでは厳しいケースもあります。老後の貯蓄・家族からの補助・軽減制度の組み合わせを事前に試算しておくことが大切です。
わたしの父の場合、厚生年金が月約16万円あったため特養の費用(月約11万円)をほぼ賄えました。一方、国民年金のみだった母は軽費老人ホームを選び、補足給付の申請で費用を抑えました。施設の種類よりも「自分の年金額と貯蓄を先に把握する」ことが、選択肢を絞る第一歩でした。
終活・看取りの観点で施設を選ぶポイント
老人ホームを選ぶ際、介護の必要度だけでなく「最期をどこで迎えたいか」も重要な判断軸になります。
看取りに対応しているか確認する
看取りケア(施設内での自然な最期)に対応しているかどうかは施設によって異なります。特養や介護付き有料老人ホームは対応しているケースが多いですが、住宅型有料やサ高住は施設によってまちまちです。入居時に必ず確認しておきましょう。
住み替えリスクを考慮する
入居時は自立または軽介護でも、将来的に重度化したときに住み続けられるかどうかは施設によって異なります。
- 健康型有料老人ホーム:要介護状態になると退去が必要
- 老健:在宅復帰を目的とした施設のため、長期入居は想定されていません。目安として数か月単位での利用が多く、施設や状況によって異なります
- 特養:終身入居が基本(原則退去なし)
また、サ高住は「高齢者住まい法」にもとづく登録制度で、安否確認と生活相談サービスの提供が必須とされているバリアフリー賃貸住宅です。介護保険サービスは含まれておらず、必要な場合は別途、訪問介護等の事業者と契約する必要があります。グループホームは地域密着型サービスに分類されており、原則として施設が所在する市区町村に住民票がある方が対象になります。
入居一時金の返還ルールを把握する
有料老人ホームには、入居から90日以内に退去した場合に入居一時金を返還してもらえる「短期解約特例制度(90日ルール)」があります(老人福祉法に基づく指導指針で定められています)。また、入居一時金は「初期償却」と「月割り償却」の仕組みで徐々に費消され、残額が返還されます。入居前に必ず契約書で確認してください。
よくある質問
Q. 特養とグループホームはどう違いますか?
A. 特養は身体介護全般に対応し要介護3以上が対象です。グループホームは認知症の方を少人数(5〜9人)でケアする施設で、要支援2以上・認知症の診断が必要です。認知症の進行がある場合はグループホーム、身体的な介護量が多い場合は特養が向いています。
Q. 入居一時金0円の施設は安全ですか?
A. 入居一時金0円の施設は珍しくなく、大手事業者にも多くあります。月額で収益を得るビジネスモデルのため、一概に質が低いわけではありません。重要なのは一時金の有無より、施設の運営状況・スタッフの対応・看取り方針などを見学で確かめることです。
Q. 特養に入れない間はどこに住めばよいですか?
A. 特養の待機中は、住宅型有料老人ホームやサ高住を「つなぎ」として利用するケースが一般的です。「特養の申し込みを先に済ませ、待機しながら民間施設に入居する」という流れが現実的です。ケアマネジャーに相談して申し込み先をリストアップしておきましょう。
施設ごとの詳しい選び方は「介護施設の選び方」、特養への入り方は「特養の入り方」、サ高住の詳細は「サ高住とは」、認知症の方向けのグループホームについては「グループホームとは」もあわせてご覧ください。
まとめ
- 老人ホームは「公的(特養・老健・介護医療院・ケアハウス)」と「民間(有料・サ高住・グループホーム等)」の2グループに分けて考える
- 月額費用は介護サービス費・居住費・食費・日常生活費の4本柱で成り立つ
- 所得が低い場合は「負担限度額認定」「高額介護サービス費」の申請で費用を抑えられる
- 自分の年金額と照らし合わせて払い続けられるか事前に試算する
- 看取り対応・住み替えリスク・入居一時金の返還ルールも確認必須
施設の種類と費用の全体像をつかんだ上で、次のステップとして「実際の施設見学」「ケアマネジャーへの相談」へ進むことをおすすめします。
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