老人ホームの種類と費用|特養・有料・サ高住の違いと選び方

介護・老人ホーム

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老人ホームの費用が払えるか不安なときは、①特養など公的施設も候補に入れる、②負担限度額認定(補足給付)や高額介護サービス費を申請する、③ケアマネジャーか地域包括支援センターに早めに相談する、の3つが基本です。

種類と費用の目安は、この記事で「公的施設」と「民間施設」の2軸に分けて整理します。老人ホームは10種類以上あり、月額は5万円台から30万円超まで大きな差があります。

特養など公的施設の申し込みは、お住まいの市区町村や施設へ直接行います(申込先は自治体により異なります)。費用面とは別に、民間の施設も含めて探したい方向けに、いい介護では入居相談員への相談を無料で利用できます。相談は無料ですが、入居後の費用は施設に支払います。

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「そろそろ親の介護について考えなければ」と思いながら、老人ホームの種類が多くて何から調べればよいか分からない——そんな方がとても多いです。

わたし自身、両親の施設探しをした際に、特養・有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅の違いが最初はまったく整理できませんでした。

この記事では、全種類を「公的」と「民間」の2グループに整理したうえで、費用相場・選ぶときの判断軸・費用が心配なときの制度まで順番に説明します。

払えないと感じたら:相談する順番

請求書を見て「このままでは続けられないかもしれない」と感じたときは、次の順番で相談先を当たると整理しやすくなります。

  1. ケアマネジャー(いない場合は地域包括支援センター)に、月いくらまでなら払えるかを伝えて相談する
  2. 特養・老健・介護医療院に入居しているなら、市区町村の介護保険の窓口で負担限度額認定(補足給付)の対象か確かめる
  3. 入居中・入居予定の施設の相談員に、居室タイプの変更などができるか聞く
  4. それでも生活が成り立たないときは、お住まいの福祉事務所(生活保護の相談窓口)に相談できる

地域包括支援センターは、親御さんの住所地を担当するセンターに相談します。担当は市区町村のホームページか、介護保険の窓口で分かります。

相談は無料と案内している自治体もあります(出典:川崎市)。

電話の前に、施設の請求書、親御さんの年金額が分かるもの、預貯金の残高が分かるものを手元に置くと、話が進めやすくなります。

有料老人ホーム・サ高住・ケアハウスに入居中の場合は、負担限度額認定(補足給付)の対象外です。対象は、特養・老健・介護医療院などの介護保険施設とショートステイです(出典:福岡市)。次の手は次の3つです。

  • 高額介護サービス費の対象になるか確かめる(介護サービス費の自己負担分が対象)
  • ケアマネジャーと、介護サービスの量・内容を見直す
  • 費用の低い施設(特養の申し込みなど)への住み替えを検討する

制度の詳しい内容は「介護費用を安くする4つの制度」、無料の相談先は「介護施設の選び方」、特養の申し込みは「特別養護老人ホームの入り方」にまとめています。

老人ホームは「公的」と「民間」の2グループで考える

老人ホームを種類別に覚えようとすると混乱しやすいです。まず「誰が運営しているか」で2つに分けると整理しやすくなります。

公的施設(費用が低めで、入居条件が厳しい)

国や自治体が関与する施設です。費用は民間より低めですが、入居には要介護認定や所得条件があり、特に人気の特養は待機期間が長い点に注意が必要です。

施設名 入居条件 入居一時金 月額目安
特別養護老人ホーム(特養) 要介護3以上 0円 5〜15万円
介護老人保健施設(老健) 要介護1以上 0円 8〜14万円
介護医療院 要介護1以上 0円 10〜20万円
ケアハウス(軽費老人ホーム) 60歳以上・自立〜軽介護 0〜数十万円 8〜17万円

月額はあくまで目安です。要介護度・所得段階・居室タイプ(多床室か個室か)によって変わります。正確な金額は各施設にお問い合わせください。

民間施設(入居しやすいが費用は高め)

民間事業者が運営します。特養と違って待機なしで入居できるケースが多く、施設のバリエーションも豊富ですが、費用は全体的に高くなります。

なお、同じ有料老人ホームでも「介護付き」と「住宅型」では介護サービスの提供のしかたが異なります。

介護付き有料老人ホームは施設のスタッフが直接介護サービスを提供する「特定施設入居者生活介護」の指定を受けているのに対し、住宅型有料老人ホームは生活支援が中心で、介護が必要な場合は外部の訪問介護等の事業者と別途契約する仕組みになっています。

施設名 入居条件 入居一時金 月額目安
介護付き有料老人ホーム 自立〜要介護(施設による) 0〜数千万円 15〜30万円
住宅型有料老人ホーム 自立〜要介護 0〜数百万円 12〜25万円
健康型有料老人ホーム 自立のみ 数百万〜数億円 10〜30万円
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) 60歳以上・自立〜要介護 0〜数十万円(敷金型) 10〜20万円
グループホーム 要支援2以上・認知症の診断あり 0〜数十万円 14〜20万円
シニア向け分譲マンション 自立〜軽介護 数千万円〜(購入) 10〜30万円+管理費

施設タイプ選び方フロー図

3つの質問で施設タイプを絞り込む

月額費用の内訳を知っておく

施設の「月額○万円」という数字には複数の費目が含まれています。内訳を知らないと、入居後に想定外の出費が生じることがあります。

月額費用の4本柱

  1. 介護サービス費:要介護度に応じて決まる。自己負担は原則1割で、一定以上所得者は2割または3割(出典:厚生労働省「介護サービス情報公表システム」)
  2. 居住費:居室タイプにより異なる(多床室が最も安く、ユニット型個室が最も高い)
  3. 食費:1日あたりの基準額が国で定められている
  4. 日常生活費:日用品・理美容・レクリエーション費など(施設ごとに異なる)

主要5施設の月額費用比較

主要5施設の月額費用目安(地域・施設・要介護度により異なります)

特養など公的施設の居住費・食費は「基準費用額」として国が定めており、所得に応じた軽減制度も用意されています(後述)。有料老人ホームは施設が自由に設定できるため、費用のばらつきが大きいです。

民間の施設も含めて、条件に合う候補を探してみたい人は、相談員に話してみる方法もあります。

注意点として、いい介護は有料老人ホームなど民間施設が中心の紹介サービスで、特養などの公的施設は主な取り扱いではありません(公式サイトの施設種別の検索に特養は並んでいません・2026年9月27日時点)。特養だけを探している人には向きません。相談は無料ですが、入居後の費用は施設に支払います。

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費用が心配なときは「軽減制度」を確認する

介護施設の費用負担を軽くする制度が2つあります。多くの方が知らないまま申請していないケースがあるため、費用が気になる方は入居前に早めに確認しておくと安心です。

①補足給付(負担限度額認定)

所得・預貯金が一定以下の方が対象で、特養・老健・介護医療院などの居住費と食費の自己負担額を減額してもらえる制度です。

対象のおおまかな目安は、世帯全員が市町村民税非課税で、預貯金等の基準は所得段階で異なり、単身でおよそ500万〜650万円以下(老齢福祉年金の受給者などは1,000万円以下)です(令和7年時点・出典:厚生労働省)。令和8年8月にも見直しがあり、基準や金額は変わることがあるため、最新は市区町村の窓口で確かめてください。市区町村の介護保険担当窓口に「負担限度額認定証」の申請をします。

当てはまるかは窓口で確認してください。有料老人ホームなどは対象外です。

②高額介護サービス費

同じ月の介護サービス費の自己負担合計が所得段階に応じた上限額を超えた場合、超えた分が払い戻される制度です。月額が高くなりやすい有料老人ホームの利用者にも適用されます(介護サービス費の自己負担分のみが対象で、居住費・食費・日常生活費は対象外)。

月の上限額は、同じ世帯の第1号被保険者の課税所得がいずれも380万円未満の課税世帯で44,400円、世帯全員が市町村民税非課税の世帯で24,600円です(年金収入などがさらに少ない人には、これより低い区分があります。令和7年6月時点・出典:厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1390)。補足給付の段階ごとの金額は、こちらの記事の表で確かめられます。

どちらの制度も自動適用ではなく、申請が必要です。ケアマネジャーや市区町村の窓口に相談してみてください。

払えないと感じたときの相談先は、記事の冒頭の「払えないと感じたら:相談する順番」にまとめています。

「年金で払えるか」を事前に確認する

施設選びで多くの方が気になるのが「毎月の年金で払い続けられるか」という点です。年金受給額の目安(厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」・令和4年度時点。最新は厚生労働省公式サイトでご確認ください)は以下のとおりです。

年金種別 平均月額(目安)
国民年金(老齢基礎) 約5.6万円
厚生年金(老齢厚生・基礎含む) 約14.5万円

この数字と施設の月額を照らし合わせると、特養(5〜15万円)は国民年金だけでは厳しいケースもあります。老後の貯蓄・家族からの補助・軽減制度の組み合わせを事前に試算しておくことが大切です。

軽減制度でどれくらい下がるかの一例です。特養などに30日入所した場合、食費の基準費用額は1日1,545円で月46,350円ですが、負担限度額認定の第2段階に当たると1日390円で月11,700円になり、食費だけで月34,650円の差になります(令和8年8月改定後の基準。居住費の段階ごとの金額は介護費用を安くする4つの制度の表にまとめています)。介護サービス費の自己負担も、上の高額介護サービス費で月の上限が決まります。

わたしの父の場合、厚生年金が月約16万円あったため特養の費用(月約11万円)をほぼ賄えました。一方、国民年金のみだった母は、予算に合う軽費老人ホームを探して選びました。施設の種類よりも「自分の年金額と貯蓄を先に把握する」ことが、選択肢を絞る第一歩でした。

よくある質問

Q. 老人ホームの費用が払えなくなったらどうなりますか?

A. 退去の扱いは、入居契約書の「契約の解除」にあたる条項で決まります。まず契約書で、支払いが遅れた場合にどうなるか(どのくらい滞った場合に解除になるのか、事前の通知はあるのか)を確かめてください。そのうえで、滞納が続く前に施設の相談員やケアマネジャーに伝えると、軽減制度の申請や、費用の低い施設への住み替えを一緒に検討できる場合があります。生活が成り立たないほど苦しいときは、お住まいの福祉事務所にも相談できます。

Q. 特養とグループホームはどう違いますか?

A. 特養は身体介護全般に対応し要介護3以上が対象です。グループホームは認知症の方を少人数(5〜9人)でケアする施設で、要支援2以上・認知症の診断が必要です。認知症の進行がある場合はグループホーム、身体的な介護量が多い場合は特養が向いています。

Q. 入居一時金0円の施設は安全ですか?

A. 入居一時金0円の施設は珍しくなく、大手事業者にも多くあります。月額で収益を得るビジネスモデルのため、一概に質が低いわけではありません。重要なのは一時金の有無より、施設の運営状況・スタッフの対応・看取り方針などを見学で確かめることです。

Q. 特養に入れない間はどこに住めばよいですか?

A. 特養の待機中は、住宅型有料老人ホームやサ高住を「つなぎ」として利用するケースが一般的です。「特養の申し込みを先に済ませ、待機しながら民間施設に入居する」という流れが現実的です。ケアマネジャーに相談して申し込み先をリストアップしておきましょう。

施設ごとの詳しい選び方は「介護施設の選び方」、特養への入り方は「特養の入り方」、サ高住の詳細は「サ高住とは」、認知症の方向けのグループホームについては「グループホームとは」もあわせてご覧ください。

終活・看取りの観点で施設を選ぶポイント

老人ホームを選ぶ際、介護の必要度だけでなく「最期をどこで迎えたいか」も重要な判断軸になります。

看取りに対応しているか確認する

看取りケア(施設内での自然な最期)に対応しているかどうかは施設によって異なります。特養や介護付き有料老人ホームは対応しているケースが多いですが、住宅型有料やサ高住は施設によってまちまちです。入居時に必ず確認しておきましょう。

住み替えリスクを考慮する

入居時は自立または軽介護でも、将来的に重度化したときに住み続けられるかどうかは施設によって異なります。

  • 健康型有料老人ホーム:要介護状態になると退去が必要
  • 老健:在宅復帰を目的とした施設のため、長期入居は想定されていません。目安として数か月単位での利用が多く、施設や状況によって異なります
  • 特養:終身入居が基本(原則退去なし)

また、サ高住は「高齢者住まい法」にもとづく登録制度で、安否確認と生活相談サービスの提供が必須とされているバリアフリー賃貸住宅です。介護保険サービスは含まれておらず、必要な場合は別途、訪問介護等の事業者と契約する必要があります。

グループホームは地域密着型サービスに分類されており、原則として施設が所在する市区町村に住民票がある方が対象になります。

入居一時金の返還ルールを把握する

有料老人ホームには、入居から90日以内に退去した場合に入居一時金を返還してもらえる「短期解約特例制度(90日ルール)」があります(老人福祉法に基づく指導指針で定められています)。

また、入居一時金は「初期償却」と「月割り償却」の仕組みで徐々に費消され、残額が返還されます。入居前に必ず契約書で確認してください。

まとめ

  • 老人ホームは「公的(特養・老健・介護医療院・ケアハウス)」と「民間(有料・サ高住・グループホーム等)」の2グループに分けて考える
  • 月額費用は介護サービス費・居住費・食費・日常生活費の4本柱で成り立つ
  • 所得が低い場合は「負担限度額認定」「高額介護サービス費」の申請で費用を抑えられる
  • 自分の年金額と照らし合わせて払い続けられるか事前に試算する
  • 看取り対応・住み替えリスク・入居一時金の返還ルールも確認必須

施設の種類と費用の全体像をつかんだ上で、次のステップは「実際の施設見学」と「ケアマネジャーへの相談」です。費用面で迷っている方は、見学の前に相談しておくと、条件に合う候補を絞りやすくなります。

民間の施設も含めて探したい人は、入居相談員に無料で相談する方法もあります。相談は無料ですが、入居後の費用は施設に支払います。

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この記事を書いた人

両親や義理の家族を見送った経験から「やさしい終活ガイド」を運営しています。特定の業者に偏らず、葬儀・お墓・相続の手続きなどの費用相場や流れを、公的な情報や一次情報をもとに中立にお伝えします。(相続・税・法律の個別のご相談は専門家へおつなぎします)

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