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この記事でわかること
- 要介護認定に関わる6者、それぞれの役割
- 「決める」立場と「決めない」立場の違い
- 介護認定審査会という「見えない会議」の実像
この記事は、両親の介護を経験した水野そらが、厚生労働省などの一次情報をもとに編集しています。
まず結論
要介護認定を最終的に決めるのは市区町村です。ただし市区町村が単独で判断しているわけではなく、介護認定審査会が保健・医療・福祉の専門家による合議で審査・判定し、その結果にもとづいて市区町村が認定処分を行います(介護保険法第27条)。訪問調査員や主治医は、判定のための材料をそろえる役割で、区分そのものを決める立場ではありません。
「調査のときの受け答えで結果が変わってしまうのでは」「主治医の意見書の書き方次第で決まるのでは」――要介護認定の通知を待つ間、そんな不安を感じる方は少なくありません。この記事では、認定に関わる6者がそれぞれ何をしていて、最終的に「決める」のは誰なのかを、法律の根拠とあわせて整理します。
「決める」のは誰?6者の役割早見表

要介護認定には、本人・家族から市区町村まで、6つの立場が関わります。まずはそれぞれが「何をするか」「決めるかどうか」を一覧にしました。
| 立場 | することは | 決めるか |
|---|---|---|
| 本人・家族 | 申請する。ふだんの生活の様子を伝える | 決めない |
| 認定調査員(市区町村の職員) | 訪問して基本調査(74項目)と特記事項を記録する | 決めない |
| 主治医 | 心身の状態について主治医意見書を作成する | 決めない |
| コンピュータ | 基本調査などをもとに一次判定(要介護認定等基準時間)を算出する | 決めない |
| 介護認定審査会 | 一次判定と主治医意見書などをもとに審査・判定する | 審査・判定して市区町村に通知する |
| 市区町村 | 審査会の通知にもとづいて認定処分を行い、本人に通知する | 最終的に決定・通知する |
表のとおり、「決める」役割を持つのは介護認定審査会と市区町村の2者だけです。訪問調査員も主治医も、集めた情報をもとに審査してもらう材料をそろえる立場であり、区分そのものを決める権限は持っていません。
「審査会が決める」という説明をよく見かけますが、法律の条文をたどると、もう一段階正確な言い方ができます。
厚生労働省の資料には、「市町村は法第27条第5項前段の規定により通知された認定審査会の審査及び判定の結果に基づき、要介護(要支援)認定をした」うえで、「その結果を当該被保険者に通知しなければならない」と説明されています(出典:厚生労働省「要介護認定に係る制度の概要」)。つまり、介護認定審査会は「審査・判定して市区町村に通知する」機関であり、認定という処分そのものを行う(=法律上「決める」)のは市区町村という2段構えになっています。
申請から結果通知までの4つの段階

申請から結果が届くまでは、おおむね次の順で進みます。
- 申請(本人・家族・地域包括支援センターなどが市区町村へ提出)
- 訪問調査(認定調査員による基本調査)と、主治医意見書の作成が並行して進む
- 一次判定(基本調査などをもとに、全国一律のコンピュータ判定で要介護認定等基準時間を算出)
- 二次判定(介護認定審査会が一次判定と主治医意見書などを合わせて審査・判定し、市区町村に通知)
この結果、非該当(自立)から要支援1・2、要介護1〜5まで、幅のある区分に分かれます。要支援と要介護の分かれ目については要支援と要介護の違いとは?分かれ目は2つ|8段階早わかり表で整理しています。申請の持ち物や必要書類など、手続きそのものの詳しい流れは要介護認定の申請方法|7段階の区分と30日で認定される流れもあわせてご覧ください。
結果が出るまで約30日。待つ間とその後の選択肢
申請から結果通知までの間も、生活は続きます。認定結果を待つ間、家事や見守りの手が足りなくなることも珍しくありません。
介護保険法第27条第11項では、申請のあった日から原則30日以内に処分をしなければならないと定められており、これは審査会の判定を受け取った市区町村が処分・通知を行うまでの期間です。ただし、心身の状況の調査に時間がかかるなど特別な事情がある場合は、市区町村が理由と見込み期間を通知したうえで延期できるとされており、実際には30日を超える自治体も少なくないとされています。あくまで目安として捉え、気になる場合はお住まいの市区町村の窓口で確認してみてください。
また、結果が出たあとに「実態と合っていない」と感じたときは、区分変更申請という手続きで改めて認定を求める道があります。手続きの詳しい流れや、認定そのものに納得できない場合の審査請求については要介護認定の不服申し立て|期限3か月・流れと区分変更との違いで詳しく取り上げています。
認定を待つ間や、認定を受けたあとに保険の枠だけでは足りない部分は、介護保険外の家事・生活援助サービスを組み合わせて補う方法もあります。
公式サイトによると、利用登録は無料で、電話相談も通話料無料で受け付けています(受付9:00〜18:00・年中無休)。ただし対応都道府県内にも一部非対応エリアがあるため、まずは登録・相談から始めてみるのが安心です。
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「見えない会議」の実像──介護認定審査会は何をしているのか
「知らないところで勝手に決められた」という感覚を持つ方は少なくありません。介護認定審査会がどんな場なのかを知っておくと、その不安は少し和らぎます。
- 委員は市町村長が任命する非常勤特別職の地方公務員で、任期は2年(再任可)
- 保健・医療・福祉の学識経験者による合議体で、定数は「5人を標準として市町村が定める」ため、人数や職種の内訳は自治体で異なる
- 委員の過半数が出席しなければ審議・議決はできず、議事は出席委員の過半数で決する(可否同数なら会長が決する)
委員の任命や過半数の議決ルールは健康長寿ネットの解説にもとづいています(出典:健康長寿ネット「介護保険の介護認定審査会とは」)。多くの自治体では、個人情報の保護や審議の中立性を理由に、この会議を非公開としています(例として、伊丹市は情報公開条例にもとづき非公開と案内しています)。本人が出席して意見を述べる場ではなく、訪問調査の結果や主治医意見書といった書類をもとに、専門家が合議で判定する場です。二次判定で一次判定の結果が変わることもありますが、その割合は自治体や年度によって差があり、全国共通の数値は確認できていません。
よくある誤解を先に解消しておきましょう
Q. 主治医が要介護度を決めているのでは?
A. 主治医が作成するのは、心身の状態についての意見書までです。区分は、この意見書と訪問調査の結果をもとに、介護認定審査会が合議で審査・判定します。
Q. 認定調査員の心証や態度で結果が左右されるのでは?
A. 調査員の役目は、基本調査の項目に沿って状況を記録することです。記録された内容は主治医意見書とあわせて審査会が判定するため、調査員個人の印象だけで区分が決まる仕組みにはなっていません。
Q. 家族が強く希望を伝えれば、区分は上がるのでは?
A. 希望を伝えること自体は妨げられませんが、判定の根拠になるのは基本調査の結果と主治医意見書です。伝えたいのは「希望する区分」ではなく、ふだんの生活で実際に困っている具体的な様子です。
よくある質問
Q. 認定調査に家族は同席できますか。
A. 同席できます。本人が実際より控えめに話してしまうことがあるため、ふだんの様子をメモしておき、家族から補足を伝えると実態が伝わりやすくなるとされています。
Q. 審査会の判定結果はいつ、どうやって本人に伝わりますか。
A. 審査会が市区町村に通知した結果にもとづいて、市区町村が認定結果通知書を本人宛てに郵送するのが一般的です。原則30日以内が目安ですが、自治体によって前後することがあります。
Q. 結果に納得できないときは、誰に相談すればよいですか。
A. まずはケアマネジャーや地域包括支援センターに相談するのが一つの方法です。手続きとしては区分変更申請や審査請求といった道もあり、詳しくは市区町村の窓口で確認できます。
まとめ
- 要介護認定を最終的に決めるのは市区町村(介護保険法第27条)
- 介護認定審査会は保健・医療・福祉の専門家による合議で審査・判定し、市区町村に通知する役目
- 認定調査員・主治医・コンピュータ判定は、いずれも判定の材料をそろえる立場で、区分を決める権限はない
- 審査会は多くの自治体で非公開。委員は非常勤特別職の地方公務員で、過半数出席・過半数議決で運営される
- 結果が出るまでは原則30日が目安。待つ間や結果を受け取ったあとも、保険外サービスで手の届かない部分を補う方法がある
まだ申請前の方は、地域包括支援センターに相談すると、次の一歩が具体的になります。すでに申請していて結果を待っている方は、表の6者のうち自分がいま誰とやり取りしている段階なのかを確かめておくと、通知が届いたときに落ち着いて受け止められます。結果に納得できないときの相談先も、この記事のよくある質問にまとめました。
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