特別養護老人ホーム(特養)の入り方|申し込み手順6ステップと待機を短くする7つのコツ

介護・老人ホーム

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この記事でわかること

  • 特養への申し込みから入所までの6ステップ
  • 空きに当たる機会を広げる7つの実践コツ
  • 入れないあいだ、待機中に使える選択肢と向き不向き

まず結論

特養への入所は要介護3以上が原則です。要介護1・2でも、認知症の症状や家族の事情など4つの事情に当たれば、特例入所として扱われることがあります。当たらないときも、認定後に状態が変わっていれば、区分変更申請を考えます。

多くの自治体・施設で点数方式(ポイント制)が使われ、申込順だけでは決まりません。できるのは、複数施設への申込み、申込理由を事実で書くこと、状況の変化を伝えることが中心です。待ち期間の全国の統計は確認できません。京都市1市の調査(令和4年度)では、定員30人以上の特養に入所した人の76.5%が1年未満でしたが、全国の目安ではなく、地域や施設で大きく違います。窓口か施設に「今の申込者数と、最近の入所までの期間」を聞きます。

入れないあいだは、ショートステイや老健でつなぐか、民間施設を並行して探します。まずケアマネジャー(いなければ地域包括支援センター)に、申込書の特例入所の欄の書き方の相談、他施設の申込書、今の状況を申込先へ伝えること、の3つを頼んでみてください。

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押してもすぐに契約は成立しません。特養そのものの申込書は、このあと説明するとおり申込先の施設に出すのが基本です。

親の介護が限界に近い。特養に入れたいけど、どこに連絡すればいいのかもわからない。わたし自身、両親の介護をしていたとき、まさにこの状態でした。

申し込み先が複数あることすら、ケアマネジャーに相談するまで知らなかったのです。この記事では、特養への申し込みの流れと、少しでも早く入れるための工夫を整理しました。

要介護3以上の入所申込者は全国で約20.6万人(厚労省・2025年4月1日時点)です。前回調査の約25.3万人から減っていますが、地域によっては長く待つこともあります。

この数字には長く名簿に載っている方も含まれ、全員が今すぐ入所を必要としているとは限らないと厚労省は注記しています。

入居条件——要介護3以上が原則、特例もある

特養(特別養護老人ホーム)の入所には原則として要介護3以上の認定が必要です。要介護1・2の方は原則対象外ですが、次の4つの事情に当たれば特例入所として扱われることがあります。

  • 認知症で、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られる
  • 知的障害・精神障害等を伴い、同様の症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られる
  • 家族等による深刻な虐待が疑われるなど、心身の安全・安心の確保が困難
  • 単身世帯、同居家族が高齢・病弱などで家族等の支援が期待できず、かつ地域の介護サービスや生活支援の供給が不十分

※出典:厚生労働省「指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について」(平成26年12月12日・令和5年4月7日一部改正)。自治体が必要と認める事情を追加で考慮する場合があります。

特例入所に当たるかは、申込先の施設が判断します(市区町村の意見も踏まえます)。細かい基準や手続きは自治体の指針で違うことがあります。入所申込みのときに特例入所に当たると申し立てられ、申立てがあれば施設は申込みを断れませんが、入所が決まるわけではありません。

要介護1・2の方は、ケアマネジャーか市区町村の窓口に「申込書の特例入所の欄の書き方を相談したい」と伝えます。伝え方は、コツ7にまとめました。なお、要介護認定そのものの申請手順は要介護認定の申請方法をご参照ください。

申し込みの流れ——6ステップで整理する

申し込みは、要介護認定、ケアマネジャーへの相談、複数施設への申込書、待機、入所判定、契約の6ステップで進みます。申込書は申込先の施設に出すのが基本で、書式や窓口は自治体で違います。

特養の申し込みから入所までの6ステップフロー図
ステップ 内容 目安期間
1. 要介護認定を受ける 市区町村の窓口またはケアマネ経由で申請。要介護3以上を確認する 申請〜結果まで約30日
2. ケアマネジャーに相談 入所の意向を伝え、地域の施設リストと申込書類を入手する 随時
3. 複数施設に申込書を提出 国の制度に上限はないが、自治体が受け付ける数を決めている地域がある(3〜5か所など)。書式・提出先は施設・自治体で異なる 随時
4. 待機(選考) 多くの自治体・施設で点数方式(ポイント制)。申込順だけでは決まらず、緊急性・介護度・家族状況などで優先度が決まる。決めるのは施設の委員会 地域・施設により大きく異なる(全国の公的な統計は確認できない)。窓口か施設に「今の申込者数と、最近の入所までの期間」を聞く
5. 入所判定・通知 施設の入所判定委員会で審査。通知から入所まで数週間〜数カ月 施設による
6. 契約・入所 重要事項説明書を確認し契約。費用は入所前に必ず確認する −

申込書式は、自治体が統一書式を定めているケースもあります。申込書は申込先の施設に出すのが基本ですが、どこにどう出すかはケアマネか市区町村の介護保険窓口に確認するのが確実です。

特養に入れない・待機が長いとき——空きに当たる機会を広げる7つのコツ

順位を直接動かす方法はなく、確実に短くする方法もありません。できるのは、空きに当たる機会を広げることです。

順位は施設の入所検討委員会が決めるため、複数施設への申込み、申込理由を事実で書くこと、状況の変化を伝えることが中心です。

1. 複数の施設に同時に申し込む

申し込みは1か所に絞らず、複数の施設に出せます。空きが出る時期は施設ごとにばらばらなので、窓口を広げるほど機会が増えます。

国の制度に申込数の上限はありません。ただ、自治体が申込書をまとめて受け付ける地域では、3〜5か所までと決めているところがあります(横浜市・川崎市は5か所、新宿区・北九州市は3か所)。

2. 申込理由欄に事実を具体的に書く

選考では緊急性が見られます。「大変です」だけでは伝わらないので、夜間の対応が必要な頻度、家族の就労状況、認知症の具体的な症状など、事実をそのまま書きましょう。

3. 状況が変わったら施設に伝える

要介護度が上がった、介護する家族が体調を崩した、独居になった。申し込み時から事情が変わったら、施設かケアマネジャーを通じて伝えましょう。

4〜6. 候補を広げる工夫(部屋のタイプ・地域・ショートステイ)

  • 部屋のタイプ:個室中心のユニット型だけでなく多床室も候補に入れると、申し込める施設が増えます。個室のユニット型は居住費が高めです。
  • 通える範囲:隣の地域まで探すと選択肢が増えます。施設によっては住所地の条件があります。
  • 同じ施設のショートステイ:申し込んだ施設が運営しているなら、本人が雰囲気に慣れ、家族も対応を見られます。利用が入所の優先につながるとは限りません。

民間施設は特養より月々の費用が高くなりやすく、費用を抑えたい方には向かないことがあります。民間施設の相談は特養の待機順位には関係しません。

7. ケアマネジャー・地域包括支援センターと連携する

担当ケアマネジャーか地域包括支援センターに、申込理由の書き方や必要書類を相談しておくと、書類の不備で後回しになる事態を防げます。

要介護1・2で特例入所を考えるときは、ケアマネジャーか市区町村の窓口に「申込書の特例入所の欄の書き方を相談したい」と伝えます。そのうえで「在宅での生活がどう困難か」を事実で話します。特例入所に当たるかは、申込先の施設が判断します。

特例入所に当たらないと言われても、要介護度を上げる手段として区分変更を考えるものではありません。認定を受けたあとで心身の状態が変わり、今の区分が実態に合わなくなったと考えられるときは、有効期間の途中でも「区分変更申請」で要介護度の見直しを申請できます。

申請先は市区町村の窓口で、ケアマネジャー(居宅介護支援事業者)に提出を代行してもらうこともできます。

  • 分かったこと:国に申込数の上限はなく、数を決めている自治体がある。全国の公的な待ち期間の統計は確認できない。一例として、京都市「介護サービス事業者に関するアンケート調査」(令和4年度)では、定員30人以上の特養に入所した人の76.5%が1年未満で、1年以上は23.6%だった。入所した人の割合で、今待っている人が1年以内に入れる確率ではない。
  • 分からないこと:お住まいの地域の申込数の上限、特例入所に当たるか、今の待ち期間。
  • 聞き方と答えの見方:窓口かケアマネジャーに「今の申込者数と、最近の入所までの期間」を聞きます。数字で答えてくれれば判断材料になります。答えられないときは、複数の施設を見比べます。

入れないあいだ、待機中に使える選択肢——向き不向きを整理する

入れないあいだは、ショートステイや老健でつなぐか、民間施設(サ高住・有料老人ホーム)を並行して探す方法があります。民間施設の相談は、特養の待機順位には関係しません。

わたしの両親の介護のときも、待っている間をどうつなぐかが一番の悩みでした。費用は施設や地域で大きく違うため、ここでは向き不向きと、特養と比べた費用の方向だけ書きます。金額は、各施設の重要事項説明書や市区町村の窓口で確かめてください。

  • ショートステイ:数日〜短期の宿泊で、介護する家族が休む時間をつくれます。長期の住まいにはなりません。費用は介護保険の自己負担に食費・滞在費などが加わります。使う日数で変わるので、ケアマネジャーに見込みを聞くと確かです。
  • 老健(介護老人保健施設):リハビリを通じて在宅復帰を目指す施設です。長く暮らす前提ではないため、期間の見通しを施設に確認します。費用は部屋のタイプで変わるため、施設の重要事項説明書で確かめます。
  • サービス付き高齢者向け住宅(サ高住):見守りや生活支援のついた住まいです。介護が必要になったら、多くは外部の介護サービスを組み合わせる形です(特定施設の指定を受けて介護も提供する住宅もあります)。家賃や生活支援の費用に介護サービスの自己負担が加わるため、特養より月々の負担は大きくなりやすい傾向です。厚生労働省の資料(平成26年度の調査)では、家賃・食費などの総額の平均が月約14万円です。介護サービスの自己負担は別にかかり、地域や設備で大きく違います。詳しくはリンク先の記事か物件の資料で確かめます。
  • 有料老人ホーム:介護や生活支援の体制が施設ごとに違い、選べる幅が広い一方、費用差も大きくなります。一般に特養より高くなりやすいので、入居金の有無を含めて重要事項説明書で確かめます。
  • グループホーム:認知症の方が少人数で暮らす施設です。対象は認知症の症状があり、要支援2以上(要支援1は対象外)の方です。診断書を求める施設が多く、施設のある市区町村に住民票が必要になるのが一般的です。費用は施設ごとに差があるので、施設か市区町村の窓口で確かめます。

どれが合うかは、本人の状態と家族の状況で変わります。目安として、状況別に選び分けるなら次のとおりです。

  • 夜に眠れない:ショートステイで休む時間をつくります。対応エリアなら、次に紹介するイチロウも選べます。
  • 費用を抑えたい:ショートステイや老健を、ケアマネジャーと相談しながら使います。
  • 認知症がある:グループホームを候補に入れます。

迷うときは、ケアマネジャーに「特養の空きを待つあいだ、どれが現実的か」と聞いてみてください。

特例の対象外と言われた夜にすること

  • 他の施設への申込みを続ける(特例入所に当たるかは、申込先の施設が市区町村の意見も踏まえて判断するため)。
  • つなぎにショートステイや老健を使う(この節の一覧を参考にします)。
  • ケアマネジャーに、夜間の対応の回数や目が離せない時間など、今の見守りの負担を具体的に伝える。

ここまでは施設や短期の宿泊を挙げましたが、家で介護を続けながら待つ方もいます。介護保険の訪問介護だけでは夜間や通院の付き添いに手が足りないとき、介護保険外のサービスを足す方法があります。

よくある質問

Q. 申し込んだ順番に入所できる?
いいえ。多くの自治体・施設で点数方式(ポイント制)が使われ、申込順だけでは決まりません。緊急性・介護度・介護者の状況などを踏まえ、施設の入所検討委員会が決めます。

Q. 入所が決まったら他施設の申し込みはどうする?
申し込み中の他施設に速やかに辞退の連絡を入れてください。放置すると他の待機者の機会を奪います。

Q. 要介護1・2でも申し込める?
申し込み自体は可能な場合がありますが、入所は原則要介護3以上です。要介護1・2は、認知症の症状や虐待のおそれなど4つの事情に当たるかが焦点になります。当てはまりそうなら、申込書の特例入所の欄の書き方を、ケアマネジャーか市区町村の窓口に相談してください。

まとめ

  • 入所条件は要介護3以上が原則。要介護1・2は4つの事情に当たれば特例入所として扱われることがあり、当たらないときも、認定後に状態が変わっていれば区分変更申請を考える
  • 選考は多くの自治体・施設で点数方式(ポイント制):申込順だけでは決まらず、施設の委員会が決める。自分でできるのは、複数施設への申込み、申込理由を事実で書くこと、状況の変化を伝えること
  • 申込書は申込先の施設に出すのが基本で、書式や窓口は自治体で違う。ケアマネか市区町村に聞く
  • 待機中はショートステイ・老健等を組み合わせる(サ高住を「つなぎ」の住まいに選ぶ人もいます)。民間施設の相談は待機順位に関係しない

次の一歩は、ケアマネジャーへの3つの伝言です。「申込書の特例入所の欄の書き方を相談したい」「他の施設の申込書もほしい」「今の状況を申込先に伝えてもらえるか」。ケアマネがいない場合は、お住まいの市区町村の地域包括支援センターに同じことを聞けます。

民間施設を今は考えない方は、この3つだけで足ります。待つあいだの住まいも見ておきたい方は、入居相談を並行して使えます。

介護保険の仕組みをまだ確認していない方は介護保険の仕組みも合わせてご覧ください。認知症の症状が進み身体介護より見守り中心のケアが向いている場合は、グループホームとはもあわせてご検討ください。

※本記事は2026年10月時点の情報をもとに作成しています。制度・費用は自治体や施設により異なります。最新情報は市区町村窓口または担当ケアマネジャーにご確認ください。

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この記事を書いた人

両親や義理の家族を見送った経験から「やさしい終活ガイド」を運営しています。特定の業者に偏らず、葬儀・お墓・相続の手続きなどの費用相場や流れを、公的な情報や一次情報をもとに中立にお伝えします。(相続・税・法律の個別のご相談は専門家へおつなぎします)

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