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この記事でわかること
- 要介護認定を受けると使える8つのメリット
- 介護保険の「中」と「外」、2つの扉の違い
- 認定を受けるデメリットと注意点
まず結論
要介護認定を受ける最大のメリットは、介護サービスを費用の1〜3割の自己負担で使えるようになることです。さらに認定は、税金の障害者控除やおむつ代の助成など、介護保険の「外」にある支援を受けるための入口にもなります。
この記事は、両親の介護を経験した水野そらが、公的機関の一次情報をもとに編集しています。
「要介護認定を受けると、何がどう変わるのか分からない」――介護保険証が届いても、封を開けたまま机の引き出しにしまっている、という声は珍しくありません。実は要介護認定は、介護サービスを安く使えるだけの制度ではありません。この記事では、保険の中で使える5つのメリットから、意外と知られていない保険の外側の3つの支援まで、あわせて8つの利点とデメリットの両方を整理しました。
要介護認定とは?7つの区分と非該当
要介護認定とは、どれくらいの介護や支援が必要かを市区町村が判定する仕組みで、要支援1・2、要介護1〜5の7区分と、介護保険サービスの対象外となる「非該当」に分かれます。
- 非該当(自立)……介護保険サービスの対象外
- 要支援1・要支援2……予防的な支援が中心
- 要介護1〜要介護5……数字が大きいほど必要な介護の度合いが高い
申請の窓口や必要書類、訪問調査の流れといった手続きの詳細は、こちらの記事をご覧ください。→要介護認定の申請方法
要介護認定が開く「2つの扉」

要介護認定を受けると、介護保険サービスを安く使える「内側の扉」と、税金の控除や自治体の助成などを受けられる「外側の扉」の、2つの扉が同時に開きます。
認定を受けたという事実そのものが、税の障害者控除やおむつ代の助成、自治体独自のサービス、民間の介護保険の給付要件といった、介護保険の外にある支援の入り口にもなっており、片方だけを見ていると、条件を満たしていても支援を取りこぼす可能性があります。
内側の扉①:介護サービスを1〜3割の自己負担で使える

要介護認定を受けると、訪問介護や通所介護(デイサービス)などの介護保険サービスを、費用の1割(一定以上の所得がある場合は2割または3割)の自己負担で利用できるようになります(出典:介護サービス情報公表システム)。
たとえば、1か月に3,000単位(1単位10円換算で30,000円相当)の訪問介護サービスを利用した場合、認定を受けて1割負担になれば自己負担は3,000円で済み、残りの27,000円は介護保険から給付されます。1単位10円・1割負担で計算した目安です。実際の負担割合は所得によって2割・3割になることもあります。なお、認定を受けていない場合はこの公定価格でのサービス利用自体ができず、同じ内容を希望するなら事業者ごとに料金が異なる自費サービスを探すことになる点は覚えておきましょう。
内側の扉②〜⑤:支給限度額・ケアプラン・福祉用具・高額介護サービス費
認定を受けると、区分ごとに使えるサービス量の上限(区分支給限度基準額)が決まるほか、ケアプランの作成が無料になり、福祉用具のレンタルや購入・住宅改修の費用助成、月の自己負担に上限がつく高額介護サービス費も対象になります。
※以下の表は2026年8月時点、1単位10円で計算した目安(要支援1で約5万円、要介護5で約36万円)です。実際の単価は地域や種類により異なります。出典:目黒区「区分支給限度額」
| 区分 | 支給限度基準額(単位) |
|---|---|
| 要支援1 | 5,032単位 |
| 要支援2 | 10,531単位 |
| 要介護1 | 16,765単位 |
| 要介護2 | 19,705単位 |
| 要介護3 | 27,048単位 |
| 要介護4 | 30,938単位 |
| 要介護5 | 36,217単位 |
- ケアプランの作成費用は無料です(出典:福岡市)。プロが心身の状態や希望に合わせて計画を立ててくれるので、家族だけで抱え込まずに済みます。
- 特定福祉用具(腰掛便座など)の購入費は、年度で10万円を限度にその9割〜7割が支給されます(出典:船橋市)。
- 手すりの取り付けなど住宅改修費の支給限度基準額は20万円です。原則1人1回ですが、介護度が3段階上がったときや転居したときは再度使えます(出典:厚生労働省 老企第42号)。
- 1か月の自己負担が高額になったときは、所得区分に応じて15,000円〜140,100円の間で上限が設けられる高額介護サービス費があります(2026年8月時点、出典:介護サービス情報公表システム)。詳しい仕組みは介護費用を安くする4つの制度で解説しています。
「認定だけ受けて、サービスは使わない」もアリ?
要介護認定を受けたからといって、必ず介護保険サービスを使わなければならないわけではありません。認定はあくまで「使える権利」を確保するための仕組みです。
認定を受けておけば、有効期間中であれば思い立ったときにいつでもサービスを使い始められますし、前の章で紹介した障害者控除やおむつ代助成といった「外側の扉」だけを利用することもできます。ただし、有効期間が切れれば更新の手続きが必要になるため、使う予定がまったくない場合は、更新のたびに手間だけがかかる点は覚えておきましょう。
認定を受けても、保険だけではまかなえない部分がある
要介護認定を受けても、介護保険には「使える範囲」の制限があり、同居家族がいる場合の生活援助や、区分支給限度額を超えた分の費用は、原則として全額自己負担になります。
たとえば「同居家族の分の食事づくり」「庭の手入れ」なども、介護保険の対象外になるのが一般的です。こうした保険の外側の家事・生活援助は、介護保険外のサービスを組み合わせて補う方法もあります。
限度額を超えた分や家族分の家事まで頼みたいときは、無料で資料請求や見積もりができるサービスを探してみるのも一つの方法です。
外側の扉⑥〜⑧:税の控除やおむつ代の助成にもつながる
要介護認定を受けたという事実そのものが、税金の障害者控除やおむつ代の助成、自治体独自の生活支援サービスを受けるための要件になっていることがあります。
代表的なのが税金の障害者控除です。要介護認定を理由に、市区町村から「障害者控除対象者認定書」を発行してもらえる場合があり、確定申告の控除につながることがあります。対象や区分は自治体によって基準が異なるため、詳しくは要介護認定で障害者控除は受けられる?で解説しています。控除額の計算や申告の具体的な手続きは、税理士・税務署にご確認ください。
おむつ代についても、要介護認定を要件に助成や現物支給を行う自治体があります。対象となる介護度や助成額は自治体ごとに幅があるため、おむつ代の助成の記事で確認してみてください。
このほか、配食サービスや緊急通報装置の貸与など、要介護認定を要件とする独自サービスを持つ自治体もあります。内容は市区町村ごとに大きく異なるため、地域包括支援センターや窓口で確認するとよいでしょう。民間の介護保険や生命保険の介護特約も、要介護認定を給付要件にしているものがありますが、支払われるかどうかは契約内容によるので、加入先に確認するのが確実です。
受ける前に知っておきたいデメリットと手続きの流れ
要介護認定を受けるデメリットも知っておく
要介護認定には良いことばかりでなく、結果が出るまで時間がかかる、訪問調査に立ち会う手間がある、想定と違う判定が出ることがある、更新の手続きが続くという4つの負担もあります。
- 結果が出るまで原則30日かかる……申請してすぐにサービスを使えるわけではありません(出典:山口市)
- 訪問調査の立ち会いが必要……日程調整のうえ、家族や本人が調査員に生活状況を説明する時間がかかります
- 想定と違う判定が出ることがある……思ったより軽い区分になり、希望していたサービスが使いにくいこともあります
- 更新の手続きが続く……有効期間が切れる前に、同じような手続きを繰り返す必要があります
認定の有効期間と申請の流れ
新規・区分変更の認定の有効期間は原則6か月(3〜12か月の幅)、更新は原則12か月(3〜48か月の幅)です(出典:さいたま市)。申請から認定までは、次の3ステップで進みます。
- 市区町村の窓口へ申請する(本人が動けない場合は家族や地域包括支援センターによる代行も可能。京都市の例では申請代行に手数料はかかりません/出典:京都市)。申請そのものにも本人の費用負担はありません(北九州市の例/出典:北九州市)。ただし、認定調査に必要な主治医意見書についても意見書自体の費用負担はない一方、意見書を作成してもらうための診察にかかる費用は自己負担になります(羽村市の例/出典:羽村市)
- 認定調査員による訪問調査と、主治医意見書の作成が行われる
- 介護認定審査会での審査を経て、区分が通知される
必要書類や申請時に準備しておくとよいものなど、より詳しい手続きは要介護認定の申請方法にまとめています。
よくある質問
Q. 要介護認定の申請にお金はかかりますか?
A. 申請そのものに本人の費用負担はありません(北九州市の例)。ただし、認定調査に必要な主治医意見書は、意見書自体の費用負担はない一方、作成してもらうための診察にかかる費用は自己負担になります(羽村市の例)。
Q. 地域包括支援センターはどこにありますか?
A. お住まいの市区町村名と地域包括支援センターで検索すると、担当のセンターが分かります。介護の困りごとをまとめて無料で相談できる公的な窓口です。
Q. 要介護度が上がると自己負担額も上がりますか?
A. 在宅サービスは使える上限が広がるだけで、負担が増えるのは使った分の1〜3割です。一方、特別養護老人ホームなどの施設は、介護度によって基本料(介護報酬)が変わる仕組みになっているうえ、居室のタイプや地域区分によっても金額が異なるため、一律に増えるとは言い切れません。気になる場合は施設に直接確認するか、介護施設の選び方も参考にしてください。
まとめ
- 要介護認定を受ける最大のメリットは、介護サービスを1〜3割の自己負担で使えること
- 支給限度額・ケアプラン無料・福祉用具や住宅改修の助成・高額介護サービス費も使える「内側の扉」
- 障害者控除やおむつ代助成につながる「外側の扉」もある
- 認定にはデメリットもあるが、サービスを使う義務はない
地域包括支援センターは、介護に関するあらゆる困りごとを無料で相談できる公的な窓口です(出典:新宿区)。
まずはお住まいの市区町村の窓口か地域包括支援センターに、要介護認定の申請について相談することから始めてみましょう。
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