訪問介護の生活援助とは|頼める家事・頼めない家事と回数の上限

訪問介護の生活援助とは|頼める家事・頼めない家事と回数の上限 介護・老人ホーム

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この記事でわかること

  • 生活援助で頼める家事・頼めない家事の線引き
  • 生活援助を使える回数の目安と、同居家族がいる場合の考え方
  • 断られたときに次に何をすればいいか

この記事は、祖母と両親の介護を経験した水野そらが、公的機関の一次情報をもとに編集しています。

まず結論

訪問介護の生活援助で頼めるのは、掃除・洗濯・調理・買い物など「本人の日常生活を支える範囲の家事」です。大掃除や家族分の家事、庭の手入れなどは原則対象外で、利用できる回数にも要介護度ごとの目安があります。同居家族がいる場合は原則対象外とされていますが、家族の事情によって個別に認められることもあります。たとえば家族が仕事で日中家にいない場合などです。頼める範囲に該当しうるかどうかは、担当のケアマネジャーに具体的な状況を伝えて確認するのが近道です。

「掃除や洗濯はお願いできるらしいけれど、どこまで頼んでいいのか分からない」——祖母のケアプランを見直したとき、私も同じところで立ち止まりました。生活援助で頼める家事・頼めない家事と、回数の目安、同居家族がいる場合の考え方を整理しました。

生活援助とは|身体介護との違い

生活援助とは、掃除・洗濯・調理・買い物など、本人の日常生活を支える家事援助です。訪問介護には「身体介護」「生活援助」「通院等乗降介助」の3区分があり、生活援助は本人の体に直接ふれない援助を指します。一方の身体介護は、入浴・排せつ・食事の介助など本人の体に直接ふれて行う援助です(通院の付き添いを含む)。料金のしくみは訪問介護の費用はいくら?料金表と月額目安・負担を抑える制度で解説しています。

頼める家事・頼めない家事の一覧|「頼める/グレー/頼めない」の3区分

生活援助で頼める・グレー・頼めない家事の3区分早見図

厚生労働省の通知「老計第10号」(最終改正 老振発0330第2号)は、生活援助にあたる行為を掃除・洗濯・調理・買い物などの家事に整理しています。事業所や自治体の判断に委ねられる「グレー」な範囲もあるため、3つに分けました。

家事の内容 区分 補足・確認先
本人の居室の掃除・整理整頓 〇 頼める
ゴミ出し 〇 頼める
本人の衣類の洗濯・アイロンがけ 〇 頼める
シーツ・布団カバーの交換 〇 頼める
本人の食事の調理・配膳・後片付け 〇 頼める
日用品・食料品の買い物代行、薬の受け取り 〇 頼める
換気・室温の調整 〇 頼める
玄関・廊下など共用部分の掃除 △ グレー 要確認(ケアマネ・保険者)
本人の食事のついでに作る家族分の調理 △ グレー 「ついで」の範囲は事業所差あり
日中独居の時間帯だけの家事支援 △ グレー 同居家族の就労状況等で個別判断
家族の分の洗濯・掃除・調理 × 頼めない
庭の草むしり・ペットの世話 × 頼めない
大掃除・窓拭き・換気扇掃除・模様替え × 頼めない
来客対応・留守番・おせちなど特別な調理 × 頼めない
医療行為(点滴の管理、褥瘡の処置など) × 頼めない 訪問看護など別サービスの対象

断られる理由の多くは、①家族のための家事、②大掃除など範囲外の作業、③医療行為、のいずれかです。本人と一緒に行う「見守り的援助」は生活援助でなく身体介護として整理されるのが原則です。買い物代行の線引きは訪問介護の買い物代行で解説しました。

生活援助を使える回数には目安がある

生活援助は「20分以上45分未満(179単位)」「45分以上(220単位)」の2区分で算定され(2024年度改定時点)、要介護度ごとに「1か月あたりの基準回数」も定められています(平成30年厚生労働省告示第218号)。

要介護度 基準回数(1か月あたり)
要介護1 27回
要介護2 34回
要介護3 43回
要介護4 38回
要介護5 31回

この回数を超えるケアプランを立てるときは、市区町村への届出が必要です。この届出は利用回数を一律に制限するものではありませんが、届出後に市区町村がケアプランの内容を検証し、必要に応じて見直しを求めることがあります。目安に近づいたら早めにケアマネジャーへ相談してください。

要支援の方は生活援助(介護給付)の対象外

要支援1・2の方は、介護保険の「介護給付」における生活援助の対象外で、かわりに市区町村が運営する「総合事業」の訪問型サービスを利用します。内容や回数の基準は自治体ごとに異なるため、ケアマネジャーか地域包括支援センターに確認してください。

同居家族がいる場合|原則と例外、自治体で違う「同居」の定義

同居の定義が自治体で異なる比較表(三木町・沖縄県広域連合・山都町)

同居家族がいる場合、生活援助は原則として利用しにくいとされます。調布市の案内では、同居家族のいる利用者への生活援助は介護保険法に基づき原則不可と考えられる、と説明されていますが、あくまで原則です。厚生労働省の事務連絡(介護保険最新情報Vol.125・平成21年12月25日 厚労省老健局振興課)は、同居家族がいるだけで一律に不可とはせず個別に判断するとしています。次のような「やむを得ない事情」は例外として認められうると各自治体のFAQで案内されています。

  • 同居家族が障がいや病気で家事を行うことが難しい場合
  • 日中独居の時間帯にサービスを使わないと本人の状態に影響が及ぶおそれがある場合
  • 家族関係に深刻な問題があり、援助が期待できない場合
  • 同居家族が高齢で、家事を行うことが難しい場合
  • 同居家族が就労・修学などで日中不在で、その間に必要な支援ができない場合

見落としやすいのが、「同居」の範囲自体が自治体で違う点です。同一敷地内の別棟に家族が住むケースを、香川県三木町は「別居」として扱う一方、沖縄県介護保険広域連合や熊本県山都町は「同居」として扱います。二世帯住宅は、確認できた3自治体すべてで「同居」扱いでした。山都町のように、利用前に確認書の提出を求める自治体もあります。

自分の自治体で確認しておきたい3点

  • 同一敷地内の別棟や二世帯住宅は、同居・別居のどちらの扱いになるか
  • 確認書などの書類提出が必要か
  • やむを得ない事情の説明を、誰に(ケアマネジャー・自治体窓口)伝えればよいか

遠慮や家事への不慣れそのものは、認められる理由になりません。背景に病気や就労などやむを得ない事情があるかどうかが分かれ目です。ご自身の家庭が該当しうるかは、ケアマネジャーかお住まいの市区町村(保険者)に個別に確認してください。

ケアマネジャーに伝える前の整理メモ

同居家族がいる場合はとくに、家庭の状況を具体的に説明できるかで話の進み方が変わります。相談前に次の3点を書き出しておくと伝わりやすくなります。

  • 本人が今、自分でできる家事とできない家事
  • 同居家族の就労時間帯や、持病・体調の状況
  • 頼みたい家事が「本人のためのもの」か「家族のためのもの」かの仕分け

たとえば「母は平日9〜17時ひとりで、昼食の用意と洗濯が自分でできません。日中不在の時間帯の生活援助として位置づけられないでしょうか」のように、状況と頼みたい内容をセットで伝えると話が進みやすくなります。まずはケアマネジャーに相談し、納得できる説明が得られなければ、市区町村の介護保険担当窓口(保険者)にも確認してみてください。

保険内で断られたときの3段階

生活援助として対象外と言われても、それで終わりではありません。試せることが3段階あります。

  1. まずケアマネジャーに、なぜその家事が必要かを具体的に伝えて再相談する。ケアプランの見直しで対応できることもあります。
  2. 自治体や社会福祉協議会、シルバー人材センターの家事支援サービスを検討する(窓口の例:地域包括支援センターや市区町村の高齢者福祉担当課)。地域包括支援センターに「介護保険外で使える家事支援はありますか」と聞いてみるのも一つの方法です。
  3. それでも難しい場合は、介護保険外の自費の家事・生活支援サービスを検討する。

3段階目の例が、介護保険外の自費サービス「クラウドケア(CrowdCare)」です。公式サイト(2026年9月時点)によると、スポット依頼は1時間3,300円(税込)、定期依頼なら1時間2,750円(税込)から、別途交通費880円(税込)。2026年10月1日以降は定期依頼が最低2時間からになる予定で、1回あたり最低でも2,750円×2時間+880円=6,380円程度(税込)の見込みです。大掃除やペットの世話、家族分の家事も相談できます。

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対応エリア外の場合は、上記②の自治体・社会福祉協議会・シルバー人材センターに相談してみてください。

2026年10月1日から、定期依頼の最低利用時間が1時間から2時間に変更される予定です(検討時は最新の条件を公式サイトでご確認ください)。

水野そらの体験談

祖母のケアプランを見直す担当者会議で、ケアマネジャーから「お母様は普段どのくらい家事に関われていますか」と聞かれ、母の勤務時間もはっきり答えられずしどろもどろになりました。同居家族がいる場合の生活援助は「家族の事情」も一緒に説明する必要があると、そのとき初めて実感しました。※個人の体験・感想であり、効果・成果を保証するものではありません。

よくある質問

Q. 生活援助は1日に2回使えますか?
A. ケアプランの内容次第では可能ですが、基準回数との兼ね合いや必要性の説明を求められます。担当のケアマネジャーに確認しましょう。

Q. 家族が日中在宅していても身体介護は使えますか?
A. 身体介護は本人の体に直接ふれる援助のため、同居家族を理由とする制限はありません。必要性はケアプランの内容で判断されるので、担当のケアマネジャーに確認を。

Q. ゴミ屋敷のような状態の片付けは頼めますか?
A. 日常的な家事の範囲を超えるため、通常は対象外。自費サービスや専門業者への相談が必要になります。

Q. まだ要介護認定を受けていません。まず何をすればいいですか?
A. まず地域包括支援センターへ。詳しい流れは在宅介護サービスの種類と使い方で解説しています。

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まとめ

  • 生活援助で頼めるのは、掃除・洗濯・調理・買い物など本人の日常生活を支える家事に限られる
  • 「グレー」な範囲は、ケアマネジャー・保険者へ確認する
  • 要介護度ごとに基準回数があり、超える場合は市区町村への届出が必要
  • 同居家族がいる場合は原則対象外だが、やむを得ない事情があれば個別に認められることもある
  • 「同居」の範囲は自治体で判断が異なるため、自分の自治体に確認しておくと安心

頼みたい家事が本人分か家族分かを整理し、担当のケアマネジャーに伝えるところから始めてみてください。

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この記事を書いた人

両親や義理の家族を見送った経験から「やさしい終活ガイド」を運営しています。特定の業者に偏らず、葬儀・お墓・相続の手続きなどの費用相場や流れを、公的な情報や一次情報をもとに中立にお伝えします。(相続・税・法律の個別のご相談は専門家へおつなぎします)

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