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この記事でわかること
- 「かわいそう」と言われる3つの理由
- 直葬を選ぶ人はどれくらいか
- 経験者が後悔しやすい点
- 「かわいそう」と言われにくい3条件
この記事は、両親と義家族の見送りを経験した水野そらが、公的機関の一次情報と全国調査をもとに編集しています。
まず結論
「かわいそう」と言われる理由は、儀式がない・参列の機会がない・世間体の3つに分けられます。ただ、かわいそうかどうかは価値観の問題で、正解は一つではありません。形そのものより、かわいそうに見えてしまう条件のほうが効いています。本人の意思・お別れの時間・周囲への説明。この3つを整えておけば、火葬だけの見送りでも納得のいくお別れに近づけられます。
「そんなに簡単に済ませて、お父さんがかわいそう」。家族で話し合って決めたはずなのに、親戚や知人のひとことで気持ちが揺れてしまう。
私自身、家族だけで父を見送ったあと、遠い親戚から「なぜ教えてくれなかったの」と言われました。悪気がないと分かっていても、その言葉はしばらく胸に残りました。
これから決める方にも、すでに見送って言葉に傷ついた方にも向けて書いた記事です。
「直葬はかわいそう」と言われる3つの理由

「かわいそう」はひとかたまりの感情に見えて、中身は3つに分けられます。相手がどれに引っかかっているかが分かれば、受け止め方は変わります。
理由1|お別れの儀式そのものがない
直葬は通夜と告別式を行わず、火葬だけで見送る形。読経も焼香も弔辞もありません。葬儀は儀式とセットで記憶されているぶん、それが無いと「何もしてあげられなかったのでは」という印象が残ります。
ただし、直葬でも僧侶に読経を依頼できる場合はあります。詳しくは「直葬でもお坊さんは呼べる?読経・戒名の頼み方と費用」へ。
理由2|参列してお別れをする機会がなくなる
直葬に立ち会うのは、基本的にごく近い身内だけ。友人や近所の方、同僚は、後から訃報を知り、手を合わせる場を持てません。
「かわいそう」は故人に向けた言葉に聞こえて、実際には言った本人の心残りが形を変えたものであることが少なくありません。最後に会いたかった、線香の一本でもあげたかった。その行き場のない気持ちが、あの一言に変わります。
理由3|世間体と、地域や家に残る慣習
もう一つが世間の目。地域によっては、葬儀は家と家の付き合いを確認する場でした。「近所に知らせずに済ませるなんて」という反応の裏には、その記憶があります。
葬儀への考え方は、地域やご家庭、世代で大きく異なります。きちんと式を出すのが遺された者の務めだと感じている方もいて、どちらが正しいとは決められません。相手の言葉は、その人にとっての当たり前の裏返し。そう思えると、少し楽になることもあります。
データで見ると、直葬はもう珍しい選択ではない
株式会社鎌倉新書「第6回お葬式に関する全国調査」(2024年3月調査・喪主経験者2,000名)によると、葬儀の形式は家族葬が50.0%、一般葬が30.1%、一日葬が10.2%、直葬・火葬式が9.6%でした。おおよそ10人に1人が、火葬のみの見送りを選んでいる計算です(出典:株式会社鎌倉新書「第6回お葬式に関する全国調査」(2024年))。
珍しい選択ではなくなった。数字から言えるのはそこまで。割合が増えることと、目の前の親族が納得することは別ですから。
直葬の基本や費用は「直葬とは?費用相場・流れと含まれるもの」へ。
経験者の本音|「後悔はない」が38.7%。分かれ目は形式だけではない
同じ調査には、直葬に都合の悪い数字もあります。
直葬・火葬式を行った人のうち「後悔していることはない」と答えたのは38.7%。家族葬・一般葬・一日葬ではいずれも過半数がそう答えており、直葬だけが低くなっています(出典:株式会社鎌倉新書 第6回お葬式に関する全国調査)。
ただし、この数字は単純に裏返せません。公表されているのは「後悔していることはない」と答えた人が38.7%という事実だけ。残りの方がそれぞれ何を、どれくらいの割合で後悔しているかまでは公表されていません。
では何が後悔になっているのか。調査の発表では「通夜をしなかったこと」「火葬場でのお別れの時間が短かったこと」などが挙がっています。ここに、葬儀社の解説や体験談でよく語られる声を重ねると、次の3つです。
- あっという間に終わり、見送った実感がわかなかった
- 後から友人に「知らせてほしかった」と言われ、答えに困った
- 親族への説明が事後になり、その後の付き合いがぎくしゃくした
一方、選んでよかったという声もあります。本人が望んだ形にできた。高齢の家族に無理をさせずに済んだ。挨拶に追われないぶん、静かに顔を見ていられた。
直葬だから後悔したのではなく、お別れの時間と周囲への説明。この2つが抜けると後悔しやすい。そう読むほうが実態に近いでしょう。
直葬でも、火葬までには原則1日以上ある|法律で決まっていること
「すぐに焼かれてしまってかわいそう」と言われることもあります。けれど火葬までには、法律で決められた待ち時間があるのです。
墓地、埋葬等に関する法律の第三条では、火葬は原則として死亡または死産の後24時間を経過した後でなければ行えないと定められています(妊娠7か月に満たない死産など、例外の定めもあります。出典:厚生労働省 法令等データベース)。
つまり直葬でも、火葬までには原則として一晩の安置時間が生まれます。式次第がないぶん進行に追われず、その時間の過ごし方は、安置場所が許す範囲で遺族が決められます。
父を見送ったとき、いちばん記憶に残っているのは火葬場での短いお別れではなく、安置の部屋で過ごした一晩でした。誰にも急かされず、思い出した話を母と交わしながら顔を見ていた時間。あれが私にとってのお別れでした。※あくまで私個人の体験です。感じ方はご家族によって違います。
自宅か、葬儀社や火葬場の安置施設かで、付き添える時間帯は変わります。施設ごとに異なるので、依頼する葬儀社に早めに確認を。
「かわいそう」と言われにくい直葬の3つの条件

「かわいそう」と言われにくい直葬には、共通点があります。
- 故人の意思がはっきりしている……エンディングノートや生前の会話で、本人が望んだ形だと示せる
- お別れの時間を持っている……安置中の付き添いや納棺への立ち会いなど、納得できる時間がある
- 周囲への説明と事後の供養がある……理由を伝え、後日手を合わせる機会を用意している
逆にこの3つが欠けると、「かわいそう」という言葉が出やすくなります。両者を並べてみました。
これは周囲の受け止められ方の傾向で、正しい見送り方の採点ではありません。当てはまっても、後から手を合わせる機会は作れます。
| 場面 | 言われやすい | 言われにくい |
|---|---|---|
| 決めた理由 | 費用や手間を理由に家族だけで決めた | 本人が望んだ形だと伝えられる |
| お別れの時間 | 安置中は付き添わず当日だけ立ち会う | 安置中に付き添い、納棺にも立ち会う |
| 周囲への連絡 | 知らせないまま火葬まで終える | 近い親族は事前、他は事後に挨拶状 |
| 火葬後の供養 | 納骨も法要も予定が決まっていない | 四十九日や納骨の予定を伝えてある |
| 菩提寺への相談 | 檀家だと伝えず火葬まで進める | 先に事情を伝え、納骨や読経を相談 |
なお、ここでの四十九日や読経は仏式を前提にした例です。神式・キリスト教式では時期も呼び方も異なりますので、宗旨に合わせて読み替えてください。
菩提寺が直葬後の納骨を受け入れるかは寺院ごとに判断が分かれ、断られる場合もあります。檀家のお寺があるなら、火葬の前に一度ご連絡を。
後悔を防ぐ準備は「直葬で後悔しないために|後悔の声と事前確認チェックリスト」へ。親族から反対されている方は「直葬のトラブル|菩提寺の納骨拒否・親族の反対と対処法」もどうぞ。
親族への説明でいちばん困るのは、「それで本当に大丈夫なの」と聞かれた場面ではないでしょうか。当日の流れや何が含まれるのかを書いたものが手元にあれば、言葉に詰まらずに済みます。よりそうお葬式では、直葬を含む葬儀プランの資料を無料で取り寄せられます(申し込みに費用はかかりません)。申し込みには氏名・電話番号・メールアドレスや送付先などの入力が必要で、資料はメールか郵送かを選べます。公式ページには、資料請求をすると「よりそう会員」に無料登録される旨の記載があります。急いで決める必要はないので、比べる材料の一つとしてどうぞ。
すでに見送ったあとで言われた方へ
終えた形は変えられませんが、手を合わせる機会はこれから作れます。まず決めた経緯を家族で言葉にしておくこと。四十九日や納骨のときに声をかけ、手を合わせてもらうこと。後日お別れの場を設ける形もあります。私も四十九日に集まる機会を作り、改めて父を偲びました。
迷っているなら、中間の選択肢も知っておく
直葬か一般葬かの二択では決めきれません。その間には、通夜を省く一日葬、参列者を絞る家族葬、火葬後に日をあらためてお別れ会を開く形もあります。
判断の軸は3つ。本人が何か言い残していたか。参列してほしい人の顔が浮かぶか。家族の体力と時間に無理がないか。声に出して確かめると、迷いが整理されることもあります。
火葬だけの見送りの流れは「火葬式の費用と流れ|直葬との違いとメリット・デメリット」に書きました。
よくある質問
Q. 参列できなかった友人には、あとから知らせてもよいのでしょうか。
A. 火葬を終えたあとに、挨拶状で伝える形がよく取られます。家族だけで見送った旨を添えると親切です。
Q. 本人が直葬を望んでいたか分からないときは、どう考えればよいですか。
A. 記録がなければ、生前の暮らしぶりや口ぐせを家族で持ち寄って決める形に。迷うときは葬儀社に相談を。
Q. 直葬でも四十九日の法要は行えますか。
A. 一般には行えます。ただし進め方はお寺や宗派の考え方で異なります。菩提寺があるなら早めにご相談を。
まとめ
- 「かわいそう」の正体は、儀式・参列の機会・世間体の3つに分けられる
- 直葬・火葬式は9.6%で珍しい選択ではない(鎌倉新書の全国調査)
- 「後悔はない」は38.7%。調査ではお別れの時間の短さへの後悔が目立つ
- 火葬は原則、死亡後24時間を過ぎてから。直葬でも安置の時間は生まれる
- 本人の意思・お別れの時間・周囲への説明が揃うと言われにくい
正しい形は家族の数だけあります。まずは家族で、どんな時間を持ちたいかを話してみてください。これから決める方は、葬儀社に「安置中に付き添えますか」と聞いてみるところから。
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