遺族年金はいくら?もらえる人の条件と手続き

相続・手続き



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この記事でわかること

  • 遺族年金がもらえる人の条件と、遺族基礎年金・遺族厚生年金の違い
  • 金額の目安と、請求手続きの窓口・期限・必要な書類
  • 相続放棄をしても受け取れる理由や、2028年4月の制度改正について

まず結論

遺族年金は、故人が加入していた年金制度に応じて「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」のどちらか、または両方が支給される仕組みです。もらえるかどうかは、故人との生計維持関係や保険料の納付状況などの条件によって決まり、金額も家族構成や故人の加入期間によって変わります。原則として非課税で、相続財産にはあたらないため相続放棄をしても受け取れるとされていますが、実際の受給可否・金額は個別事情によって異なりますので、最終的には年金事務所やねんきんダイヤルへの確認をおすすめします。本記事の金額は2026年4月時点(令和8年度)の情報です。

親が亡くなったあと、遺された配偶者の生活を考えるうえで気になるのが「遺族年金はいくらもらえるのか」という点です。私自身も、終活にまつわる情報発信をする中で、こうした事例をご相談やお声としてうかがうことがあります。例えば、80代の母が90歳の父を看取ったあと「遺族年金の手続きがよくわからない」と困っていた、というケースです。この記事では、遺族年金をもらえる人の条件、金額の目安、請求手続きの流れを整理してお伝えします。

遺族年金とは

遺族年金は、国民年金・厚生年金の加入者が亡くなったときに、遺された家族の生活を支えるために支給される公的年金です。故人がどの制度に加入していたかによって、支給される年金の種類が変わります。

遺族基礎年金と遺族厚生年金の違い

遺族基礎年金は、国民年金に加入していた人が亡くなった場合に支給されるもので、対象となるのは原則として「子のある配偶者」、または「子」自身です。ここでいう「子」とは、18歳到達年度の末日までにある子(障害の状態にある場合は20歳未満の子)を指します。一方、遺族厚生年金は、会社員や公務員など厚生年金に加入していた人が亡くなった場合に支給されるもので、受給できる遺族の範囲は遺族基礎年金より広く、配偶者・子・孫・父母・祖父母などが優先順位に応じて対象になります。

どちらをもらえるかは故人の働き方で決まる

故人が自営業などで国民年金のみに加入していた場合は遺族基礎年金、会社員・公務員として厚生年金に加入していた場合は遺族厚生年金(要件を満たせば遺族基礎年金もあわせて)が支給の対象になり得ます。まずは故人の年金手帳やねんきん定期便などで、どの制度に加入していたかを確認することが最初のステップです。

遺族基礎年金と遺族厚生年金の違いを表で比較

もらえる人の条件

遺族年金は、故人が加入していたというだけで自動的にもらえるわけではありません。いくつかの条件を満たす必要があります。

生計維持関係

遺族年金を受け取るには、故人によって生計を維持されていたことが条件になります。目安として、受け取る人の前年の収入が850万円未満(所得ベースではおおむね655万5千円未満)であることなどが挙げられていますが、実際の判定は個別の状況によって異なるため、詳細は年金事務所にご確認ください。

故人の保険料納付要件

故人について、原則として死亡日の前日までに、国民年金の保険料納付済期間(免除期間を含む)が加入期間の3分の2以上あることが必要とされています。ただし、死亡日が令和8年3月末までにある場合などは、死亡日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいとする特例もあります。保険料の納付状況は、ねんきん定期便やねんきんネットで確認できますが、判断に迷う場合は年金事務所への確認をおすすめします。

遺族の範囲と優先順位・子の定義

遺族厚生年金を受け取れる遺族の範囲は、優先順位の高い順に「配偶者・子」「父母」「孫」「祖父母」とされており、最も優先順位の高い人だけが受給者になります。なお、現行制度では30歳未満で子のない妻が遺族厚生年金を受ける場合、給付が5年間の有期給付になる点にも注意が必要です。

いくらもらえる?金額の目安

ここからは金額の目安を紹介しますが、いずれも2026年4月時点(令和8年度)の情報であり、年金額は年度により改定されます。あくまで目安としてとらえ、正確な金額は年金事務所・ねんきんダイヤルにご確認ください。

遺族基礎年金=定額+子の加算

遺族基礎年金は、令和8年度は年額847,300円(昭和31年4月2日以後生まれの場合)に、子の加算額を上乗せする形で計算されます。子の加算額は、1人目・2人目の子がそれぞれ243,800円、3人目以降の子はそれぞれ81,300円とされており、子の人数によって金額が変わります。1人目と3人目以降で加算額が異なる点は誤解しやすいので、正確な金額は年金事務所にご確認ください。

遺族厚生年金=報酬比例の4分の3

遺族厚生年金の金額は、原則として故人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3が目安とされています。故人の厚生年金加入期間が25年(300月)に満たない場合は、300月に満たない期間を300月とみなして計算する仕組みがあり、加入期間が短くても一定の年金額が保障されるようになっています。実際の金額は故人の加入期間・給与水準によって大きく異なるため、年金事務所での試算をおすすめします。

中高齢寡婦加算

遺族基礎年金の対象にならない40歳から65歳になるまでの妻(夫の死亡時に生計を同じくする子がいない妻、または遺族基礎年金の受給要件を失った子のある妻など)には、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算として、令和8年度は年額635,500円程度が加算される制度があります。90歳で亡くなった父を80代の母が看取るようなケースでは、母がすでに65歳を超えていることが多く、中高齢寡婦加算の対象にはならない一方、老齢基礎年金と遺族厚生年金を組み合わせて受け取る形になるケースが一般的とされていますが、実際の受給内容は個別の年金加入歴によって異なるため、年金事務所での確認が必要です。ご自身のケースがどのパターンにあたるかは、年金事務所での確認をおすすめします。

遺族年金請求手続きの流れ

請求手続きと期限

遺族年金は、故人が亡くなったからといって自動的に振り込まれるものではなく、遺族自身が請求手続きを行う必要があります。

窓口と必要書類

遺族年金の請求は、年金事務所や街角の年金相談センターで行います。故人が国民年金のみの加入だった場合は市区町村役場でも請求できる場合があります。必要書類は状況により異なりますが、一般的には年金手帳、戸籍謄本、死亡診断書のコピー、住民票、請求者の収入を確認できる書類、振込先の口座情報などが求められます。事前に年金事務所へ電話で確認し、必要書類をそろえてから窓口に行くとスムーズです。

時効5年

遺族年金を受け取る権利には、原則として5年の時効があります。請求が遅れて5年を過ぎてしまうと、時効により受け取れなくなる部分が生じる可能性があるため、故人が亡くなったら早めに手続きを進めることをおすすめします。死亡後の手続き全体を把握しておきたい方は、死亡後の手続き一覧もあわせてご確認ください。

未支給年金も忘れずに

遺族年金とは別に、「未支給年金」の請求も必要になる場合があります。これは、故人が生前に受け取るはずだった年金のうち、まだ振り込まれていない分を、生計を同じくしていた遺族が請求するものです。遺族年金が「遺族の今後の生活を支えるための年金」であるのに対し、未支給年金は「故人がすでに受け取る権利を持っていた年金の精算」という性質の違いがあります。どちらも別々に請求書を提出する必要があるため、混同しないよう注意してください。

知っておきたい3つのポイント

非課税・相続財産ではない→相続放棄をしても受け取れる

遺族年金は原則として非課税とされており、また、受給権者(遺族)固有の権利として支給されるものであり、故人の遺産そのものではないとされています。そのため、相続放棄をした場合でも、遺族年金は遺産分割の対象財産とは異なる性質のものであるため、受け取れる場合があるとされています。これは、以前ご紹介した葬祭費・埋葬料が相続財産にあたらないため相続放棄後も受け取れるとされているのと同じ考え方です。ただし個別の事情によって判断が異なることもあるため、心配な方は年金事務所にご確認いただくほか、相続放棄との関係で不安がある場合は弁護士にご相談ください。相続放棄を検討している方は、相続放棄の手続きと3ヶ月の期限もあわせてご覧ください。

再婚すると失権

遺族年金を受け取っている人が再婚すると、原則としてその時点で遺族年金の受給権を失うとされています。事実婚の状態になった場合も同様に扱われることがあるため、該当する可能性がある方は年金事務所にご確認ください。

2028年4月の制度改正について正しく理解する

2028年4月には、子のない配偶者に対する遺族厚生年金の男女差解消や、給付の有期化(5年間)といった制度変更が予定されています。これは現行制度の「廃止」ではなく、経過措置を設けたうえでの「制度変更」である点に注意が必要です。「もう5年しかもらえなくなる」といった不安の声を耳にすることもありますが、対象になるのは主に新しく受給権が発生するケースであり、すでに受給している方への影響や経過措置の詳細については、今後の公式発表を確認する必要があります。不安な方は、制度改正の最新情報を年金事務所やねんきんダイヤルで確認しておくと安心です。

よくある質問

Q. 90歳の父が亡くなり、80代の母が遺族年金を受け取れますか?
A. 母が父によって生計を維持されていた等の条件を満たせば、遺族厚生年金を受け取れる可能性があります。ただし80代であれば中高齢寡婦加算の対象外となることが多く、老齢基礎年金との組み合わせ方も含めて、具体的な金額は年金事務所での確認をおすすめします。あくまで一般的な傾向であり、実際の受給可否・金額は個別の状況によって異なります。

Q. 未支給年金と遺族年金は同時に請求できますか?
A. 別々の請求書での手続きが必要ですが、同じタイミングで年金事務所に相談・提出することは可能です。窓口で両方について確認するとよいでしょう。

Q. 2028年の制度改正で、今もらっている遺族年金がなくなることはありますか?
A. 2028年4月の改正は経過措置を伴う制度変更であり、一律に受給が打ち切られるものではないとされています。ご自身の状況への影響については、年金事務所やねんきんダイヤルなど公式の窓口で最新情報を確認することをおすすめします。

まとめ

遺族年金は、故人が加入していた年金制度や、生計維持関係・保険料納付状況などの条件によって、もらえるかどうか・いくらもらえるかが変わる制度です。金額の目安はあるものの、実際の受給可否・金額は個別の事情によって異なるため、まずは年金事務所や年金相談センターで確認しながら、時効(5年)を過ぎないよう早めに請求手続きを進めることをおすすめします。あわせて、未支給年金の請求も忘れずに行いましょう。

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この記事を書いた人

両親や義理の家族を見送った経験から「やさしい終活ガイド」を運営しています。特定の業者に偏らず、葬儀・お墓・相続の手続きなどの費用相場や流れを、公的な情報や一次情報をもとに中立にお伝えします。(相続・税・法律の個別のご相談は専門家へおつなぎします)

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