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この記事でわかること
- 高齢者の火の不始末が心配になる理由
- 電気ケトルやIHなど火を使わない選択肢
- IHを嫌がる親への声かけのコツ
- あわせて備えたい防災グッズと給付制度
まず結論
火の不始末が心配なときは、いきなりコンロを取り上げるのではなく、電気ケトルや卓上IHなど「火を使わない選択肢」を少しずつ増やすのが現実的です。卓上IHは数千円台から試せるものもあり(価格は機能によって変わります)、まずは一台から試してみるのも一つの方法です。今のガスコンロがSiセンサー搭載機か確認したうえで、本人の役割や楽しみを奪わない形で提案していくとよいでしょう。
※出典:消防庁「令和6年版消防白書」によると、令和5年の住宅火災死者1,023人のうち65歳以上が762人(74.5%)。火災原因別では「こんろ」が2,838件で第3位でした(原因不明・その他を除く、特定できた主な出火原因の中では)(出典:消防庁「令和6年版消防白書」/「令和5年(1〜12月)における火災の状況(確定値)」)(消防庁 令和6年版消防白書)。
離れて暮らす親から「コンロの火を消し忘れていた」と聞くと、一気に不安になりますよね。私自身、実家の母がやかんを空焚きしかけていたと知り「年齢による変化」を現実として受け止めた経験があります。火の不始末を防ぐ家電やグッズ、声かけのコツをまとめます。
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は、高齢になると炎の色(青色)が見えづらくなる場合があると注意を呼びかけています(NITE 注意喚起)。本人の性格や能力の問題ではなく、誰にでも起こりうる加齢による変化として捉えることが、対策を考える第一歩になると感じています。
まず確認:今のガスコンロはいつ買ったもの?
2008年10月以降のコンロには安全センサーが標準装備
実は、2008年10月以降に製造された家庭用ガスコンロには、全口に安全センサー(調理油過熱防止装置・立ち消え安全装置・消し忘れ消火機能)の搭載が義務化されています(日本LPガス協会)。一定時間の経過や鍋底の過熱で自動消火する機能が付いており、古いコンロに比べてリスクを減らせるとされています。
実家のコンロが古ければ、買い替えの検討だけでも安心材料になります。型番や購入時期を確認し、非搭載機種ならガス会社やリフォーム業者に相談してみるとよいでしょう。
火を使う場面を減らす身近な家電
電気ケトル・電気ポット
お湯を沸かすためだけにコンロを使う場面は、電気ケトルや電気ポットに置き換えることで減らせます。多くの製品には空焚き防止機能が付いており、空の状態で加熱し続けるリスクを減らせるとされています。製品ごとの機能や対応条件は購入前に公式サイトでご確認ください。
卓上IH・IHクッキングヒーターへの切り替え
コンロ全体をIHに切り替える、あるいは卓上IHを1台追加するという選択肢もあります。炎が出ないため消し忘れによる火災のリスクを減らせるとされている一方、次の点は正直にお伝えします。
- 停電時には使えない(カセットコンロなど別の熱源を備えておく必要があります)
- IH対応の鍋・フライパンでないと使えない場合がある
- 操作方法に慣れるまで時間がかかることがある
製品ごとの安全基準・対応条件は公式サイト・取扱説明書でご確認ください。

卓上IHの選び方
いざ探してみると種類が多く迷いがちですが、高齢の親に贈るときは次のような点を確認しておくと選びやすくなります。
- 消費電力とコンセント:最大消費電力は機種によって違うので、本体や仕様表の表示を確認しておきましょう。同じコンセントで炊飯器や電気ケトルと一緒に使うと合計が定格を超えることがあります。NITEは「接続する電気製品の消費電力を確認して、超えないように注意してください」「消費電力の大きな機器には延長コードなどは極力使用しないでください」と呼びかけています(NITE 注意喚起(消費電力の超過による発熱))。置き場所のコンセントに何をつないでいるかも、あわせて見ておくと安心です。
- 操作部:ダイヤル式かタッチ式か、表示が見やすく押し間違えにくいかを、できれば実際に手に取って確認できると安心です。
- 切り忘れ対策:加熱を自動で止める機能や切タイマーが付いている機種もあります。消し忘れが心配な場合は、こうした機能の有無を確認しておくとよいでしょう。ただし、機能があっても火のそばを離れないことが基本です。
- PSEマーク:卓上IH(電磁誘導加熱式調理器)は電気用品安全法の対象です。販売する事業者は「表示(PSEマーク等)が付されているものでなければ、電気用品を販売し、又は販売の目的で陳列してはならない」と定められています(経済産業省 電気用品安全法の概要(法第27条))。届いたら本体の表示を一度確認しておきましょう。
- 手持ちの鍋が使えるか:今使っている鍋がIH対応かどうかも先に確かめておきましょう。
- 置き場所と天板の広さ:卓上に置くスペースや天板の広さも、無理なく使い続けられるかどうかの目安になります。
費用と自治体の給付制度
卓上IHは数千円台から、IHクッキングヒーターへの切り替えは工事費を含め数万円からが目安になることが多いようです。介護保険の住宅改修(手すり・段差解消など対象6種類)にIH切替は含まれていませんが、自治体によっては日常生活用具給付事業で電磁調理器の購入費用の一部を助成する例もあるようです。制度の有無は自治体の高齢福祉窓口に確認してみてください。
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IHを嫌がる親への声かけのコツ
「今まで何十年もガスでやってきたのに」と、IHへの切り替えを嫌がる親御さんは少なくありません。料理は本人の役割であり楽しみでもあるため、いきなり取り上げる伝え方は逆効果になりがちです。
いきなり全部を変えない
コンロを丸ごと交換するのではなく、まずは卓上IH1台を「補助的な調理器具」として置いてみることをおすすめします。普段はガスコンロを使い、火を使いたくない料理のときだけ卓上IHを使う、という形であれば受け入れてもらいやすいようです。
「危ないから」ではなく「楽だから」で誘う
「危ないから」という言い方だけだと、能力を否定されたように感じてしまうことがあります。安全面の心配は正直に伝えつつ、「洗い物が楽になる」「掃除が楽になる」といった実利的なメリットも一緒に伝えると、本人の気持ちに寄り添いながら提案しやすいようです。
我が家では、まず一つだけ届けてみました
冒頭でお話しした、実家の母がやかんを空焚きしかけていた件では、電話で知らせを受けたその足で、空焚き防止機能付きの電気ケトルを一つ実家に送りました。届いた直後は「今までのやかんで十分よ」とあまり乗り気ではなかった母ですが、「お湯が沸くのも早いし、火を使わなくていいから、ちょっとしたお茶を淹れるときだけでも使ってみて」と伝えたところ、少しずつ使ってくれるようになりました。今では朝のお茶や一人分の味噌汁のお湯はケトルで、煮込み料理などしっかり火を使いたいときだけガスコンロで、というように自然と使い分けているようです。コンロを丸ごと変えようとするのではなく、まず一つの家電を届けてみることが、本人にとっても受け入れやすい形になったと感じています。

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あわせて備えたいもの(火災警報器・消火器)
火を使う場面を減らす工夫と合わせて、住宅用火災警報器・消火器の設置状況も見直しておきたいところです。台所や寝室への設置が推奨されており、電池切れの有無も定期的な確認が必要です。一般的に設置から10年程度が交換の目安ともされているため、あわせて確認しておくと安心です。
離れて暮らしていて様子を確認しづらい場合は、見守りカメラやホームセキュリティサービスを組み合わせると異変に気づきやすくなる場合があります。火の元の確認や安否確認の手段として検討する家庭も増えているようです。
詳しい介護用品の準備については、在宅介護の準備品チェックリストもあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. 対策は何から始めればいいですか?
A. まずは今使っているガスコンロがいつ製造されたものかを確認してみてください。2008年10月以降なら安全センサーが標準装備されています。そのうえで、電気ケトルなど火を使わない家電を一つずつ増やしていくと、無理なく進められます。
Q. IHに変えれば、もう安心して任せられますか?
A. IHへの切り替えでリスクは減らせるとされていますが、リスクがゼロになるわけではありません。火災警報器の設置や電池切れの確認など、複数の対策を組み合わせておくとより安心です。
Q. 火災警報器は何年で交換が必要ですか?
A. 一般的に設置から10年程度が交換の目安とされています。電池切れの有無とあわせて点検をおすすめします。
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まとめ
- 住宅火災の死者の7割以上は高齢者が占め(前述の消防庁データのとおり)、加齢による心身の変化(視力の低下など)が背景にあるとされています
- 2008年10月以降のガスコンロには安全センサーが標準装備されています
- 電気ケトル・卓上IHなど火を使わない選択肢を少しずつ増やすのが現実的です
- IHへの切り替えは本人の役割や楽しみを奪わない伝え方が大切です
- 火災警報器・消火器の点検や自治体の給付制度も確認しておきましょう
火の元の心配は、一気に解決しようとせず、できるところから少しずつ変えていくことが無理のない対策につながります。ご家庭に合った方法を探してみてください。
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