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家族が亡くなった後、最初にしなければならないのが「安置」の手配です。しかし「安置って何をするの?」「24時間待たなければいけないのはなぜ?」「費用はいくらかかるの?」と、戸惑う方がほとんどだと思います。
安置とは、亡くなってから火葬するまでの間、遺体を安全に保管することです。法律(墓地、埋葬等に関する法律 第3条)により、死後24時間以内の火葬は禁止されているため、必ず安置の時間が生じます。
この記事では、安置の意味・場所の選び方・費用の内訳・ドライアイスの管理・24時間ルールの正しい理解を、中立な立場でわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 安置とは何か・なぜ必要なのか
- 「24時間ルール」の正確な意味と誤解されがちな点
- 安置場所4種類(自宅・葬儀社・斎場・病院)の違いと選び方
- 安置費用の内訳(搬送・ドライアイス・安置室)の目安
- ドライアイスとエンバーミングの使い分け
安置とは?葬儀における意味と目的
安置(あんち)とは、亡くなった方の遺体を、火葬までの間、適切な環境で保管することです。単に「置いておく」のではなく、遺体の状態を保ちながら、家族が最後のお別れをする時間を確保するための大切な時間です。
安置は大きく次の2段階に分かれます。
安置の2つの段階
- 枕直し(まくらなおし):亡くなった後すぐに、遺体を清め、白装束や生前の服に整えて、北枕(または西枕)に寝かせる。自宅または病院・施設で行われる
- 本安置:棺に納棺する前、または納棺後に安置場所(自宅・葬儀社安置室・斎場など)で保管する期間。ドライアイスを使って遺体を保全する
安置の期間は、一般葬・家族葬では通夜まで1〜2日、直葬・火葬式では火葬当日まで1〜2日が目安です。
24時間ルールとは?正確な意味と誤解
「亡くなった当日は火葬できない」という話を聞いたことがあると思います。これは、墓地、埋葬等に関する法律(第3条)に定められた「死後24時間以内の火葬禁止」のことです。
墓地、埋葬等に関する法律 第3条(条文)
「埋葬又は火葬は、他の法令に別段の定があるものを除くほか、死後(死産の場合は、娩出後)24時間を経過した後でなければ、これを行ってはならない。」
(出典:e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律」)
「翌日0時」と「死後24時間」は違う
「亡くなった翌日から火葬できる」と誤解されることがありますが、正確には「死後24時間」です。
たとえば、夜中の23時に亡くなった場合、翌日の23時以降でなければ法律上火葬できません。「翌日」という曜日の概念ではなく、時刻ベースの「24時間後」が基準です。
24時間後に必ず火葬できるとは限らない
法律の24時間を過ぎても、火葬場の予約状況によっては数日待つことがあります。特に都市部では火葬場が混雑しており、亡くなってから火葬まで3〜5日かかるケースも珍しくありません。安置の日数はこの予約状況にも左右されます。
例外:感染症の場合
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)第30条の規定により、一類感染症・二類感染症・三類感染症・新型インフルエンザ等感染症の病原体に汚染された、または汚染の疑いがある遺体については、墓地埋葬法の24時間ルールの例外として、24時間以内の火葬が行われる場合があります。これは感染拡大防止を目的とした特別な取り扱いであり、通常の葬儀には適用されません。詳細は保健所または葬儀社にご確認ください。
安置場所の種類と選び方
安置できる場所は主に4種類あります。それぞれの特徴と向き・不向きを整理します。
| 場所 | 費用目安 | こんな方に向く | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ①自宅 | ドライアイス代のみ(3,000〜10,000円/日) | 故人のそばにいたい・費用を抑えたい | スペース確保・集合住宅では困難な場合あり |
| ②葬儀社の安置室 | 5,000〜20,000円/泊 | 自宅が難しい・管理を任せたい | 面会時間に制限がある場合あり |
| ③斎場(式場) | 葬儀社安置室と同程度〜無料(プランによる) | そのまま式場で通夜・告別式を行う予定 | 斎場によって対応が異なる |
| ④病院の霊安室 | 数時間のみ(追加料金が発生する場合あり) | 病院で亡くなった直後の一時安置 | 長期の安置は不可・早めの搬送手配が必要 |
病院の霊安室は「一時的な場所」
病院で亡くなった場合、まず霊安室に運ばれます。ただし霊安室は長期の安置には対応していません。病院によっては、早めの搬出を求められる場合があります。具体的な時間は病院によって異なるため、担当者に確認してください。
深夜・早朝に亡くなった場合でも搬送の手配が必要なため、かかりつけ医や病院から連絡を受けたら、すぐに葬儀社に連絡するのが基本的な流れです。24時間対応している葬儀社を事前に調べておくと安心です。
自宅安置か葬儀社安置室か:選び方の目安
自宅安置が向いている方
- 一戸建てで、故人を安置できる部屋がある
- 家族が交代でそばにいられる
- 費用をできるだけ抑えたい
- 故人を自宅で最後の時間を過ごさせてあげたい
葬儀社の安置室が向いている方
- 集合住宅(マンション等)で搬入が難しい
- 自宅のスペースに余裕がない
- 遺体の管理を専門家に任せたい
- 直葬・家族葬で式場と安置場所を一本化したい
安置の費用内訳
安置にかかる費用は「搬送費」「ドライアイス代」「安置室料」の3つに分けて考えると整理しやすくなります。
| 費用項目 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 搬送費(病院→安置場所) | 20,000〜50,000円 | 距離・深夜早朝・業者によって異なる |
| ドライアイス(1日あたり) | 3,000〜10,000円 | 夏場は使用量が増え費用が上がる |
| 葬儀社・斎場の安置室(1泊) | 5,000〜20,000円 | 葬儀プランに含まれる場合もある |
| 棺(安置・納棺用) | 30,000〜80,000円 | 葬儀一式に含まれることが多い |
上記は2025年時点の参考値であり、あくまで目安です。地域・葬儀社・安置日数・季節により実際の費用は大きく異なります。必ず見積もりで内訳を確認してください。
「父が深夜に病院で亡くなり、すぐに葬儀社に電話しました。翌朝、自宅に搬送してもらい、そこから3日間、家族でそばにいられました。ドライアイスの交換は葬儀社が毎日来てくれたので安心でした」(60代・火葬式を選んだ方のご経験をもとに編集部が構成した事例です)
ドライアイスとエンバーミング:使い分けの目安
ドライアイス
国内の安置では、ドライアイスが最も一般的な遺体保全の方法です。腹部・胸部に当てることで、腐敗を遅らせます。
ドライアイスの目安
- 使用量:1日あたり10〜20kg程度(気温・体格によって変わります)
- 交換頻度:原則1日1回(夏場や気温が高い日は2回)
- 交換担当:通常は葬儀社のスタッフが訪問して交換
エンバーミング(遺体衛生保全)
エンバーミングとは、防腐処理・修復処置を施して遺体を長期間保全する技術です。費用は100,000〜250,000円程度が目安とされていますが、施術内容・遺体の状態・業者によって数十万円単位の差が出ることがあります(2025年時点の参考値)。国内の一般的な葬儀ではあまり使われません。
主に次のような場合に検討されます。
- 海外で亡くなった方を国内に搬送する場合
- 事故・損傷が激しく、修復が必要な場合
- 安置期間が1週間以上にわたる場合
通常の国内葬儀ではドライアイスで対応できるため、葬儀社から提案がなければ必須ではありません。
直葬・火葬式の場合の安置の注意点
直葬(火葬式)を選ぶ場合、通夜・告別式がないため、安置期間が一般葬よりも短くなるケースがあります。逝去後に火葬場の予約が取れた最短日程に合わせるため、1〜2日程度の安置で火葬になることも多いです。
直葬業者の安置室は、通常葬儀社の安置室よりもシンプルな設備の場合があります。面会の可否・時間・費用体系を事前に確認しておきましょう。
よくある質問
Q. 安置中に面会はできますか?
自宅安置の場合は自由に面会できます。葬儀社・斎場の安置室の場合は、施設によって面会時間が決まっている場合があります。事前に葬儀社に確認してください。
Q. 安置中に何か準備することはありますか?
自宅安置の場合は、線香・ろうそく・枕元へのお供え(水・花など)を用意するのが一般的です。ドライアイスの交換は葬儀社が行います。葬儀社の安置室であれば、基本的な設備は整っているため、特別な準備は不要です。
Q. 安置は何日まで可能ですか?
法律上の上限はありませんが、ドライアイスによる保全には限界があります。夏場は5〜7日程度、冬場でも7〜10日程度が目安とされていますが、体格・室温・交換頻度によっても変わります。この期間安置すると、ドライアイス代だけで2〜7万円程度になることが多く、安置室料を合わせると費用が積み上がります。長期安置が必要な場合は葬儀社に相談の上、エンバーミングの検討を。なお、感染症関連の事情で安置に不安がある場合は、保健所または自治体の担当窓口にもご相談ください。
Q. 自宅安置で集合住宅に住んでいますが、問題はありますか?
マンションなどの集合住宅では、エレベーターのサイズや廊下の幅によって、棺の搬入が難しい場合があります。また、管理規約によって制限がある場合もあります。自宅安置を希望する場合は、葬儀社に事前に相談することをおすすめします。
▶ 家族葬の費用・葬儀社が気になる方へ
安置を終えたあとの火葬式当日の流れや費用については、火葬式の費用と流れ|直葬との違いとメリット・デメリットで詳しく解説しています。
まとめ
安置のポイントまとめ
- 安置とは、亡くなってから火葬までの間、遺体を安全に保管すること
- 墓地、埋葬等に関する法律 第3条により、死後24時間以内の火葬は禁止。「翌日」ではなく「死後24時間後」が正確な解釈
- 24時間経過後でも、火葬場の混雑により数日待つケースがある(特に都市部)
- 安置場所は①自宅②葬儀社安置室③斎場④病院霊安室の4種類。病院霊安室は一時的な場所であり、数時間以内の搬送が必要
- 費用の目安:搬送費2〜5万円+ドライアイス3,000〜10,000円/日+安置室5,000〜20,000円/泊
- ドライアイスは国内安置の標準。エンバーミングは海外搬送や長期安置など特殊なケース向け
- 直葬では安置期間が短くなるケースが多い。面会の可否・時間を葬儀社に事前確認を
安置は、大切な方との最後の時間を過ごすための大切な準備です。突然のことで戸惑うことが多いですが、葬儀社に連絡すれば深夜・早朝でも対応してもらえます。まずは一本電話することが、すべての始まりです。
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